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電子承認の基礎知識|業務効率化を実現する導入メリットと注意点

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電子承認とは?業務効率化を実現する導入メリットと注意点のメインビジュアル

社内の書類承認に時間がかかっていませんか? 紙の申請書を印刷し、押印や署名を経て回覧する従来の承認プロセスは、手間やコストがかかるだけでなく、業務の停滞を引き起こすことも。そこで注目されているのが、電子承認の導入です。電子承認を活用すれば、オンライン上で申請・承認を完結でき、業務の効率化やペーパーレス化を実現できます。

本記事では、電子承認の基本から導入時のポイントまでをわかりやすく解説。社内の承認フローを改善したい方は、ぜひご覧ください。

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電子承認とは? 基本概念と仕組みを解説

電子承認とは、稟議書、契約書、経費精算書、人事関連の申請書など、企業内で必要とされる各種申請・承認文書に対して、承認作業を電子的に行うことを指します。

従来のアナログな承認フローは、申請者は書類を作成・印刷し、押印/署名し、次の承認者へ回覧、これを繰り返す行程でした。承認者・決裁者は内容を確認し、押印または署名をして次の承認者へ回し、不備があれば申請者へ戻します。もし承認者・決裁者が不在、あるいは忘却していたらここで承認が滞るボトルネックになることをはじめ、この一連の行程は物理的な書類の移動や保管が伴うので時間と場所の制約を受けること、そして申請者は「誰」で止まっているのかを確認しにくい/追跡しにくい課題が多くありました。

また、電子承認の概念が広まった背景には、2005年に施行されたe-文書法(民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律)も深く関わっています。この法律は、従来紙での保存が義務付けられていた法定保存文書について、電子データでの保存を容認するものであり、その後の法改正を経て、現在では多くの書類に対して電子承認が認められるようになっています。

参考:厚生労働省「e-文書法」資料「厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令」

電子承認の仕組み

電子承認では、申請・承認フローの作業がすべてオンライン上で行われます。申請者は電子的に書類を作成し、システム上で電子的な署名や捺印を行います。承認者は自身のパソコンやスマートフォンから書類を確認し、承認または否認の操作を行うことができます。承認された書類はクラウド上に保管され、物理的な書類の移動や書類の保管スペースを必要としません。この違いが、電子承認による業務効率化の大きな要因となります。

電子承認における電子署名、電子印鑑の違い

電子承認の仕組みを理解する上で、電子署名と電子印鑑の違いも把握しておきましょう。どちらも電子的な承認行為に用いられますが、その性質と法的効力には違いがあります。

電子印鑑

電子印鑑とは、印鑑の印影を電子データ化したものです。電子印鑑には、単に印影を画像データとして利用するタイプと、印影データに押印者や作成者、タイムスタンプなどの識別情報を組み込んだよりセキュリティの高いタイプがあります。紙の書類に押印する行程を代替する感覚で電子文書へ押印できるため、導入のハードルが比較的低い特徴があります。

中でも後者は、誰がいつ承認したかを証明する能力が高く、改ざんのリスクを低減する方法です。他方、印鑑の画像データによる方法は明らかに複製や偽造が容易なので、法的効力はない、可能だとしても限定的とされています。

電子署名

電子署名は、電子文書に付与されるデジタルデータのことで、紙の契約書における署名や印鑑に相当する役割を果たします。電子署名の大きな特徴は、署名者本人が間違いなく署名したこと、そして署名後に文書が改ざんされていないことを証明できることにあります。実施は、第三者機関である認証局が発行する電子証明書と公開鍵暗号方式の技術を踏まえて行います。

電子署名では、まず署名者が認証局から電子証明書を取得します。この電子証明書は「署名者の身元を証明」するもので、紙の文書における印鑑証明書のような役割を果たします。代表的な国内の第三者機関認証局(パブリック認証局)には例えば、電子認証登記所、日本電子認証、帝国データバンク、セコムトラストシステムズなどがあります。

署名者は、発行された電子証明書と秘密鍵を使って電子文書に署名します。秘密鍵は署名者本人しか知らない情報であり、公開鍵は一般に公開されます。受信者は公開鍵を使って署名された文書を検証することで、署名が確かに本人によって行われたこと、そして署名後に文書が改ざんされていないことを確認できるのです。

 

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電子承認を導入する際の注意点

電子承認システムを導入する際には、多くのメリットがある一方で、注意点もあります。これらの注意点を事前に把握しておくことで、スムーズな導入と運用が可能になります。

  • すべての書類を電子化できるわけではない
  • 取引先が対応していないシーンもある
  • システム導入・運用コスト
  • 導入のための従業員教育

すべての書類を電子化できるわけではない

電子承認システムを導入する際には、2022年の改正電子帳簿保存法によって、帳票類の電子化に関する法整備が大幅に進んだことを理解しておく必要があります。しかし、すべての書類を電子化できるわけではありません法律や規制によっては、一部の書類について、今なお紙での保存や押印が義務付けられている場合があります。電子化を進める際は、自社で扱う書類が電子化可能かどうかを事前に確認しておくことが重要です。

代表的な例としては、公正証書を必要とする契約書や、一部の登記関連書類などが挙げられます 。これらの書類は、法律で書面での作成や交付が義務付けられているため、電子的な形式での承認や保管が認められていません。

参照:e-Gov「行政手続法

参照;e-Gov「借地借家法

取引先が対応していないシーンもある

自社で電子承認システムを導入しても、相手・取引先が電子承認や電子契約に対応していなければ依然として紙の書類でのやりとりが必要となるでしょう。紙でやりとりするならば、紙での管理・保存も必要です。長年紙ベースでの取引を行っている企業、電子的な手続きに不慣れな企業の場合、電子承認への移行に抵抗があることも考えられます。

システム導入・運用コスト

電子承認システムの導入には初期費用と運用コストがかかります。システムの種類や規模、利用人数によって費用は大きく異なりますので、事前にしっかりと比較検討する必要があります。

導入後の運用コスト(システム保守、アップデート、サポート費用など)も考慮に入れる必要があります。クラウド型の場合は、これらの費用が月額費用に含まれていることが多いですが、オンプレミス型の場合は別途発生する可能性があります。

システムを選ぶ際には、初期費用だけでなく、長期的な視点で運用コストや費用対効果を検討することが重要です。無料トライアルなどを活用して、実際にシステムを試してみることも有効です。

導入のための従業員教育

新しいシステムを導入する際には、従業員への十分な教育が不可欠です。電子承認システムは、これまで紙ベースで行ってきた業務フローを大きく変える可能性があるため、従業員が新しいシステムに慣れるまでには、ある程度の時間と労力がかかることを考慮しておく必要があります。

操作が難しいシステムを導入してしまうと、従業員の負担が増加し、従来の紙ベースの承認に戻ってしまうケースも考えられます。そのため、導入前に、社内向けの研修や説明会を実施し、システムの操作方法や導入の目的、メリットなどを丁寧に説明し、スムーズな運用を促すことが重要です。

稟議の電子化のスムーズな進め方についてはこちらの記事もぜひご覧ください。

おすすめ稟議書の電子化を効率よく進める方法

電子承認システムを選ぶ際のポイント

電子承認システムは様々な種類があり、それぞれ特徴や機能が異なります。自社に適したシステムを選ぶ際には、以下のポイントを考慮しましょう。

  • 操作性
  • 自社に合った承認フローを設定できるか
  • サポート体制

操作性

電子承認システムを選ぶ上で、最も重要なポイントの1つが操作性です。シンプルで分かりやすい画面設計のシステムを選ぶことで、従業員の負担を減らし、スムーズな導入と利用を促すことができます。

申請者と承認者の両方が、直感的に操作できるかどうかを事前に確認することが重要です。

自社に合った承認フローを設定できるか

会社の業務内容や組織構造に合った承認ルートを設定できるかどうかも、重要な選定ポイントです 。承認者が複数いる場合や、申請内容や金額などによって承認ルートを変更できるかなどを確認しましょう。

必要に応じて、代理承認や自動承認の機能があると、より柔軟な運用が可能になります 。また、既存のワークフローシステムとの連携が可能かどうかも、システム選定の際に考慮すべき点です。

サポート体制

導入後に不明点やトラブルが発生した際に、サポートを受けられるかどうかも確認しておく必要があります。24時間対応のヘルプデスクや、導入時のトレーニングがあると安心して利用できます。

システムの更新やセキュリティ対策が定期的に行われているかもチェックしましょう。信頼できるベンダーのシステムを選ぶことが、長期的な利用においては非常に重要です。

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導入前に、システムの費用や機能、運用体制を十分に検討することが重要です。取引先や社内の状況に合わせて適する電子承認システムを選び、スムーズに運用できるよう準備を進めていきましょう。

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