
「申請した稟議書、今どこで止まっているんだろう……」「承認のためだけに出社するのは非効率だ」。多くの企業でこのような声が聞かれます。稟議は、企業活動における正式な意思決定プロセスとして不可欠ですが、その運用が紙やOfficeファイルベースであるために、業務全体のボトルネックになっているケースは少なくありません。
書類の作成・印刷・押印・回覧といった一連の手間、承認状況が不透明なことによる待ち時間、差し戻しによる手戻りの発生は、従業員の生産性を低下させるだけでなく、ビジネスチャンスの損失にもつながる重大な課題です。
本記事では、多くの企業が抱える稟議業務の具体的な課題を明らかにし、その解決策として「稟議システム(ワークフローシステム)」がもたらすメリットや具体的な機能を徹底解説します。さらに自社に最適な製品を選ぶための比較ポイントとおすすめ製品もご紹介。時代に即したスピーディな意思決定の仕組みを構築し、企業全体の競争力を向上させるための第一歩を踏み出しましょう。
機能で比較「ワークフローシステム」おすすめ製品一覧
目次
そのままでは危険? 紙やOfficeファイルなどによる「過去」の稟議が抱える7つの課題
これまで、稟議書のやり取りは紙媒体に押印しつつ回覧するか、少し電子的だとしてもWordやExcelで作成したファイルをメールで回覧するくらいの方法が一般的でした。しかしこれらのような手作業の多いアナログな方法は、現代のビジネス環境においてさまざまな課題が挙がるようになっています。あなたの会社はいかがでしょうか?
- 意思決定の遅延
- 進捗状況の不透明性
- 差し戻し・修正の手間
- テレワークへの対応が困難
- コンプライアンス・セキュリティ上のリスク
- 業務の属人化
- データ活用の限界
意思決定の遅延
稟議書が承認者の手元に届くまでの物理的な時間や、承認者が多忙で確認できない時間が発生することで、承認プロセス全体が停滞します。特に複数の承認者を経由する複雑なフローでは、誰か一人の確認が遅れるだけで、全体の意思決定が大幅に遅延するリスクがあります。
進捗状況の不透明性
アナログな手段では、申請者は提出した稟議書が今、誰の元にあってどのような状況なのかをリアルタイムで把握することが困難です。「承認はまだですか?」といった確認のやり取りが発生し、申請者・承認者双方の時間を奪ってしまいます。
差し戻し・修正の手間
書類に不備があった場合、申請者は差し戻された稟議書を最初から作成し直したり、関係者に再説明したりする必要があり、手戻りが発生します。紙の場合は再印刷や再押印、Excelの場合も版管理が煩雑になるなど、非効率な作業に時間を費やすことになります。
テレワークへの対応が困難
紙の書類への押印や手渡しが必須の運用では、担当者は承認のためだけに出社を余儀なくされます。これはテレワークをはじめとする柔軟な働き方の推進を妨げる大きな要因です。
コンプライアンス・セキュリティ上のリスク
紙の稟議書は、運搬中の紛失や盗難、不正な持ち出しといったリスクに常に晒されています。また、誰がいつ承認したかの記録が曖昧になりやすく、内部統制の観点からも大きな課題が残ります。保管スペースの確保や過去の書類を探し出す手間も無視できません。
業務の属人化
「この案件の承認ルートは〇〇部長を通す」といった個別ルールが存在すると特定の担当者の知識や経験に依存し、業務が属人化しやすくなります。担当者の異動や退職によって、正しい承認フローが分からなくなる可能性があります。
データ活用の限界
過去の稟議データもさまざまな観点で「重要なデータ」となるでしょう。しかし単なる紙の束や個別のファイルとして保管されているだけでは、戦略的な活用は困難です。どのような申請が通りやすいか、どのくらいの費用対効果があったかといったデータを分析し、経営判断に活かす機会を逃してしまいます。
稟議システム(ワークフローシステム)で得られる5つのメリット
前述のような課題を解決し、稟議業務を抜本的に改善する有効な手段が「稟議システム」の導入です。稟議システムは、各種申請と承認のプロセス(ワークフロー)を電子化するためのツールであり、導入によって企業は以下のメリットを享受できます。
- 意思決定が迅速になる
- 業務プロセスが可視化される
- 内部統制とセキュリティを強化できる
- コスト削減につながる
- 多様な働き方へ対応できる
メリット1:意思決定が迅速になる
稟議書の作成から申請、承認、決裁までがすべてオンラインで完結します。承認依頼は承認者に即時通知され、パソコンやスマートフォンから時間や場所を問わずに承認作業を行えるため、リードタイムが大幅に短縮されます。
メリット2:業務プロセスが可視化される
申請した稟議書が今誰の元にあるのか、進捗状況がリアルタイムで可視化されます。無駄な確認作業がなくなり、プロセス全体がスムーズに流れます。また、入力漏れや計算ミスをシステムが自動でチェックするため、差し戻しの手間が大幅に削減され、業務効率化に大きく貢献します。
メリット3:内部統制とセキュリティを強化できる
「誰が」「いつ」「何を」承認したかの記録(証跡)がすべてシステム上に正確に記録されます。これにより、不正の防止や監査対応の効率化が実現し、内部統制が強化されます。また、データは暗号化され、アクセス権限も厳密に管理できるため、紛失や情報漏洩のリスクを低減し、セキュリティが向上します。
メリット4:コスト削減につながる
稟議書や添付資料を電子化することで、紙代、印刷代、ファイル代、保管スペース、郵送費といった物理的なコストを大幅に削減できます。書類を探す時間や管理の手間といった目に見えないコストも削減可能です。
メリット5:多様な働き方へ対応できる
クラウド型の稟議システムを導入すれば、オフィスにいなくても申請・承認業務を行えます。これにより、テレワークや在宅勤務、多拠点での業務が円滑に進み、従業員の生産性向上とワークライフバランスの実現を支援します。
この1ページで解決ワークフローシステムの主な機能、メリット/デメリット、選定ポイントを徹底解説
稟議システム(ワークフローシステム)の主な機能
稟議システムには、業務効率化を実現するための様々な機能が搭載されています。自社の課題を解決するためにどのような機能が必要か、具体的に見ていきましょう。
- 承認フロー(承認ルート)設定機能
- 申請フォーム作成機能
- 通知機能
- 外部システム連携機能
- 文書管理・検索機能
承認フロー(承認ルート)設定機能
企業の組織構造や役職、申請の種類や金額に応じて、複雑な承認フローを柔軟に設定できます。「課長の次は部長」といった単純なフローから、「申請金額が100万円以上の場合は役員の承認を追加する」といった条件分岐まで、自社のルールに合わせたきめ細やかな対応が可能です。
申請フォーム作成機能
現在使用している稟議書や各種申請書のレイアウトを、Web画面上に再現できます。直感的な操作で入力項目や計算式を設定できるため、システム導入後も社員が迷わず利用できます。過去のフォームをテンプレートとして活用することも可能です。
通知機能
稟議が自分に回付されてきた際や、申請が承認・差し戻し・決裁完了された際に、メールやチャットツールで自動的に通知が届きます。これにより、対応漏れや確認遅れを防ぎ、迅速な処理を促します。
外部システム連携機能
会計システムや人事システム、グループウェア、電子契約サービスなど、様々な外部システムとデータを連携させることができます。例えば、経費精算の稟議が承認されたら、そのデータが自動で会計システムに登録されるといった連携により、データ入力の手間を削減し、会社全体の業務を効率化します。
文書管理・検索機能
決裁が完了した稟議書や添付ファイルは、すべてシステム内に電子データとして保管されます。キーワードや申請日、申請者などで簡単に検索できるため、過去の事例を探したり、監査に対応したりする際の手間を大幅に削減できます。
稟議システム(ワークフローシステム)の選び方と比較ポイント
自社に最適な稟議システムを導入するためには、いくつかのポイントを押さえて比較検討することが重要です。
- 提供形態
- 操作性
- 承認フロー設定の柔軟性
- 連携できるシステムの範囲
- 料金体系とサポート体制
ポイント1:提供形態(クラウド型かオンプレミス型か)
- クラウド型: 初期費用を抑えてスピーディに導入でき、保守・運用の手間もかかりません。スマホやタブレットからもアクセスしやすく、テレワークにも最適です。多くは月額料金制で、中小企業から大企業まで幅広く利用されています。
- オンプレミス型: 自社サーバーにシステムを構築する形態。既存システムとの連携や独自のカスタマイズを柔軟に行いたい大企業向けですが、高額な初期費用と専門の保守担当者が必要です。
ポイント2:操作性(誰でも直感的に使えるか)
毎日使うシステムだからこそ、ITに不慣れな社員でも直感的に操作できる分かりやすい画面設計が重要です。無料トライアルやデモを活用し、申請者・承認者双方の視点で使いやすさを確認しましょう。
ポイント3:承認フロー設定の柔軟性
自社の複雑な組織構造や承認ルールに対応できるかを確認します。条件分岐、代理承認、後閲、回覧など、必要な機能が搭載されているか、組織変更にも柔軟に対応できるかは重要な選定ポイントです。
ポイント4:連携できるシステムの範囲
現在利用している、または将来的に導入を検討している会計、人事、グループウェア等のシステムと連携できるかを確認しましょう。API連携の可否や、具体的な連携実績もチェックすると安心です。
ポイント5:料金体系とサポート体制
初期費用、月額の基本料金、ユーザー数に応じた課金プランなど、料金体系は製品によって様々です。自社の利用規模に合った費用対効果の高いプランを選びましょう。また、導入時の設定サポートや運用開始後の問い合わせ対応など、サポート体制の充実度も必ず確認してください。
コスト・使いやすさ評価・柔軟性で探す おすすめの稟議システム(ワークフローシステム)7選
数多くの稟議システムの中から、自社に最適な製品を見つけるのは簡単なことではありません。そこで本章では、これまでに解説した課題や選び方のポイントを踏まえ、特に「使いやすさ」「導入コスト」「機能の柔軟性」の観点から厳選した7つの代表的なシステムをご紹介します。
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