産業技術総合研究所(産総研)の知能システム研究部門は4月15日、ヒューマノイドロボット「HRP-2」(プロメテ)の歩行・作業機能を拡大したと発表した。腕を活用することで、手で体を支えながら物を扱ったり、狭い場所を四つんばいで進むことができるようになった。
ヒューマノイドロボットの2足歩行はZMP(ゼロモーメントポイント)を指標とした安定化制御で行う。産総研は、すべての設置点が同一平面上になくてもZMPを使えるよう拡張した「一般化ZMP」を開発。手で体を支えながらの歩行や作業動作を安定的に行えるようにした。
産業プラントなどでは段差25センチ程度の階段が存在し、ロボットを産業用途で実用化するにはこれを越える必要がある。一般化ZMPを導入したHRP-2は28センチの段差を安定的に上ることに成功。また、片手をテーブルの上につき、3点支持状態でバランスを維持しながらもう片方の手で物を扱うこともできた。
既に成功済みの起きあがり・寝ころび動作のベースとなる技術を拡張し、2足歩行と四つんばいのスムーズな切り替えも可能になった。四つんばい動作は東京大学の「H7」が成功しているが、H7に比べ移動速度が速いのが特徴という。
産総研は「朝は四本足、昼は二本足、夕方は三本足で歩くものは何だ?」というスフィンクスの謎々を引用しつつ、人間は手で体を支えることで2足では難しい移動を行っていると説明。今回の研究はこれをロボットで実現したものとしている。
働くロボットの実用化に向けた第1段階として、産総研は「「普通の人間が行けるところならばどこにでも行けるヒューマノイドロボット」の実現に向けた研究を進めている。今後は滑りやすい路面の歩行技術や視聴覚機能を備えたロボットを開発する計画だ。
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