アールダブリューシーが発売予定の「Arex PocketMX」は、実売予想価格で2万790円前後(オープンプライス)という低価格なポータブルAVプレーヤーだ。しかも、この値段でDivXを正式サポートしたという注目の製品。発売は5月の予定だが、同社にお願いして試作機を借り、一足先に遊ばせてもらった。
まずは製品の素性から。「Arex PocketMX」は、米HandHeld Entertainmentの「ZVUE」だ。HandHeld Entertainmentは、昨年設立されたばかりのベンチャー企業で、デジタルメディアプレーヤー……とくに“ローコスト”な製品にフォーカスしていることで知られる。また、ZVUEはもともと独自規格の「ZCARD」用端末として開発されたもので、それをアールダブリューシーが協力してMPEG4/DivX対応にアレンジしたという。
ブルーメタリックに塗装されたポップな外観は、ぱっと見2万円とは思えない完成度だ。重量は125グラム。これに電源の単三電池×4本分の重量が加わるから、持ち歩くときは220グラム程度になる。サイズは75.4(幅)×112(高さ)×29.6(厚さ)ミリとちょっと厚めで、コートの脇ポケットなら十分に入るが、スーツの胸ポケットは無理だ。電池を電源にしたのも、低価格にできた理由の一つだろうが、贅沢をいえばもう少し薄く、軽くしてほしかったところ。
ディスプレイ部は2.5インチのTFT液晶。仕様では480×234ピクセルとなっているが、これは液晶解像度で、実際は「DivXで規定された“Handheld Profile”に沿った製品だと考えてほしい」(アールダブリューシー)。つまり、最大176×144ピクセルの毎秒15フレームだ。4対3なら120×80ピクセルから176×128ピクセル、ワイド画面の場合は176×96ピクセルとなる。
スペック表をみて、1ランク上の「Portable Profile」対応を期待していた人には残念だが、2.5インチの画面サイズには必要十分な解像度といえる。また、HDD搭載モデルのような潤沢なストレージがあれば解像度を上げてリッチに楽しむのも良いだろうが、Arex PocketMXのメディアはSD/MMCカード。SDカードの1Gバイト版はまだまだ高価で、手頃な128Mバイトや512Mバイトのメディアでは、解像度を上げても記録できる時間が短くなるだけだ。
製品にはファイル変換ソフトとして「ZFLICKS」が同梱される。もちろんDivX対応で、さまざまなファイルをArex PocketMXで再生できる形式に変換できる(ソースに使える映像ファイルは下記)。ただ、ライセンスの都合でバンドルされるのは英語版。前述のようにHandheld Profileに設定し、.aviで保存すればよいだけなので、慣れた人なら「Dr.DivX」のほうが使いやすいだろう。なお、Macユーザーの推奨環境は「QuickTime Pro」と「DivX5.1」の組み合わせだ。
フォーマット | ファイル形式(拡張子) |
---|---|
MPEG-1 | .mpg、.avi |
MPEG-2 | .mpg、.vob、.avi |
DivX | .avi、.divx |
DV | .avi |
Ogg Media | .ogm |
MPEG-4対応でSDカードというと、松下電器の“DIGA”「DMR-E200H-S」などで録画したものを再生したいと考える人もいるだろうが、残念ながらそのままでは無理だ。DIGAで録画したものは、SD VIDEO準拠のASFファイルとなるため、Arex PocketMXで再生しようと思ったら再エンコード(ファイル変換)する必要がある。試しに、SD VIDEOファイルを再生しようとしたら、やはり「Unsupported format or resolution.」と表示されてしまった。動画ファイルの解像度やファイル形式がサポート外のときは、こうなるのだ。
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