実際に装着してみると、改めて軽さに驚かされる。インナーイヤー型のイヤフォンに比べればやはり重いのだろうが、ケーブルの重さがないうえ、動いてもどこかに引っかかることがない。「軽い」というより「軽快」と表現したほうが適切だろう。
音質はというと、悪くはない。歯切れの悪い表現で申し訳ないが、とりあえず1万円前後のMP3プレーヤーとしては次第点。この製品に本格オーディオの音を期待する人もいないと思うから、期待を大きく裏切ることはないはずだ。
一方、操作性はあまり良いとはいえない。そもそも、MP3プレーヤー内蔵でも一応ヘッドフォンだから、液晶ディスプレイは搭載できないし(というより、あっても自分で見ることができないから意味がない)、大きなボタンなども用意できる訳がない。当然といえば当然だが、ボタンそのものが小さいのだ。
その上、1つのボタンに対して、押し方の違いで複数の機能を持たせている。長押しの場合は「3秒以上」。それ以外の操作は「素早く」押す必要がある。ボタンを見ないで(つまり装着したまま)操作するには、多少の慣れが必要だろう。
とくに、ボリュームや曲の移動は装着したまま行うから、耳の横あたりに手を伸ばし、手探りでボタンを押すことになる。触れただけで“ピッ”と切り替わるような高級なボタンではないため、自然と力が入る。しかし、力を入れるとヘッドフォン自体が動いてしまい、それを防ぐために親指と人差し指でヘッドフォンを挟むような形にすると、気づかずに上下のボタンを一緒に押してしまった。ボリュームを下げるつもりが一時停止してしまった……なんてこともあり、さらにしばらく気が付かず、一生懸命ボリュームを上げようとしていた。われながら、ちょっと間抜けだ。
操作性には多少の難があるものの、45グラムという軽さとバッテリー寿命の長さだけでも、「ButterFly MP3 Player」は評価できる製品だ。音質や操作性といった細かい点より、前述の「軽快さ」がとくに印象に残った。値段も手頃で、思わず購入してもいいかな? と思わせる。
MP3プレーヤーをヘッドフォンに内蔵しようという発想自体は決して新しいものではない。日に日に軽量化するMP3プレーヤーを見ながら、誰でも一度は考えたことではないだろうか。
しかし、実際の製品といえば、なかなか見つけられず、折りしもソニー(アイワブランド)が同じコンセプトの「AZ-FS256」の発売中止を発表したばかり。「ButterFly MP3 Player」は、意外と貴重なシロモノなのかもしれない。
あ、だから“レアモノ”でいいのか……。
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