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JR御用達、あの「おこし太郎」に起こされてみたレビュー(2/2 ページ)

» 2004年08月27日 11時34分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 目覚めたときは、何が起こったのか訳がわからなかった。空気枕が膨らみ始めたとき(たぶん1回目)、慣れない刺激に驚いて飛び起きたのだ。おかげさまで眠気も吹っ飛んだので、改めて空気枕の動きを観察してみる。

 設定時間になると、まず送風機が動きだす。音はするものの、周囲に響くようなレベルではないので、この時点で起きる人は少ないだろう。えきねっとの資料によると、動作時の騒音は45dB以下。これなら周囲の人に迷惑をかけることもない。

 送風機が動き出すと、すぐに空気枕が膨らみはじめる。さすが8.6キロも重量がある送風機は力強い。最大限に膨らむと、その直径は約30センチ、高さ20センチほど。こうなったらもう、体は弓なりだ。

photo 膨らむ前の空気枕
photo 膨らんだ状態で高さを計ってみた。標高200ミリちょい。動画はこちら(MPEG-1形式、3.3Mバイト)

 その後、約7秒間隔で空気の出し入れが行なわれ、空気枕は膨張と収縮を繰り返す。はじめは膨らみが小さく、徐々に大きくなるのだ。そのまま寝ていればストレッチにもなりそうだが、「快適」といえるレベルより、少し辛い感じになるまで体が伸ばされる。もっとも、気持ち良くなって“二度寝”されては困るわけだから、これが正しいのだ。

 体を持ち上げて目覚めを誘う方法は、松下電工の「suimin'ROOM」にあったエアーマッサージベッドなどに近いアプローチといえるかもしれない。しかし、おこし太郎は業務用出身だけあって容赦がない。“決められた時刻に起こす”という本来の任務を、極めてシビアに実行してくれる。

 たとえば一般的な目覚まし時計なら、設定時刻を過ぎたら鳴り止むし、一旦止まって数分後に再度鳴り出す「スヌーズ」機能などを備えていることも多い。しかし、おこし太郎は、時間セット装置のところにいってボタンを押すまで膨張&縮小を止めない。無視しても無駄。目覚まし時計のように手で払いのけられる物でもないから、嫌でも起きる気になる。

 このあたり、やはり時間厳守が絶対となる運転士のための配慮なのだろうか。なんだか、「日本の鉄道は世界で一番時間に正確」といわれる理由まで分かるような気がしてきた。


 「おこし太郎」の手にかかれば、徹夜続きのIT戦士だろうが、数時間後に運行を控えた運転士だろうが、あるいは養分を貪るように眠る報道関係者だろうが、きっと寝てはいられない。とにかく、“決めた時間に起きたい人”、起きるときに“周囲に迷惑をかけたくない人”、さらにお金と寝室のスペースに余裕がある人にオススメしたい。「夏のスポーツ観戦」には、少々オーバースペックという気がしないでもないが、頑丈そうにできているから、一台買ったら一生ものだ。たぶん。

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