もはや、プロジェクターは決して贅沢品ではない。20万円以下の製品でも、かなり高いレベルの映像を映し出してくれ、扱いも容易だ。1インチあたりの価格で考えれば、プラズマテレビや液晶テレビでは絶対に太刀打ちできないコストパフォーマンスを誇っている。
しかし、それでも手を出す人はまだまだ少ない。それは、スクリーンに原因があるように思われる。つまり、いくらプロジェクターが手軽になっても、スクリーンはそれなりの値段がしそうだし、そもそもどこに吊るせばいいのかという声をちらほら聞く。5.1chサラウンドシステムがいくら手頃になっても、置き場所を考えると……、というパターンと同じようだ。
実はスクリーンはそれほど高い代物ではない。もちろん、タイプによって異なり、電動昇降式などには十数万円ほどする製品もあるが、スプリングローラー式という手動引き出し/自動巻き上げタイプ、あるいは巻物のような掛図式であれば、2万〜3万円程度から購入可能だ。
それでも、ホームシアターが本当の意味で身近な存在となるためには、“もう一押しが欲しい”とは感じていたのも確か。今回紹介するピジョンの「ペーパースクリーン」は、ひょっとしたら、その「一押し」となりうる製品である。80インチワイドで6300円、60インチワイドなら4700円という低価格に加え、紙ならではの「扱いやすさ」が、その原動力だ。
ピジョンはアルバムなどの写真整理用品を企画・販売している会社である。すべてを紙で構成することで、「軽く、環境に優しい、低価格な」ホームシアター用スクリーンをつくりあげたという。「ペーパースクリーン」は掛図式で、スクリーン本体と上下のポールが基本部品となる。これらがすべて紙でできているため、今回試用した80インチ・ワイド(16:9)で1.4キロ、60インチ・ワイド(16:9)で1キロという重量に収まっているわけだ。
貸出品を配送業者から受け取った際に、まず少し驚いた。荷姿は210×10×10センチ程度と一般的なスクリーン製品と変わらないにもかかわらず、とにかく軽いのだ。ただ、スクリーンの場合は軽量であればよいというわけでもない。実際、とりあえず箱から取り出して、そのまま壁に掛けてみると、エアコンからの空気の流れを受け(微風なのだが)、スクリーンがヒラヒラと揺れている。
それもそのはず、重しとなるべき下のポールも、単なる厚さ2ミリのボール紙がパイプ状に加工されているだけにすぎない。しかしペーパースクリーンは、これを補うための工夫が凝らされている。紙製のウィークポイントである“反りや揺れ”を防ぐ秘策としては、サイドフレームと呼ばれる硬い板状の部品(これも紙製で、薄いコの字型になっている)が2本付属し、これをスクリーンの左右に取り付けている。
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