欧州連合(EU)のMicrosoft制裁をめぐり執行猶予請求を棄却した欧州第一審裁判所の決定に対し、Microsoftが控訴を断念した。Microsoftの広報担当者が1月24日確認した。
欧州Microsoftの広報責任者、ダーク・デルマルティノ氏は、「2004年12月22日に第一審裁判所が言い渡した暫定措置についての決定に対し、控訴権を行使しない方針を決めた」と語った。
Windows PCの独占的な立場を不正利用したとして欧州委員会から言い渡された制裁措置について、Microsoftは執行猶予を求めていたが、同裁判所のボー・ベステルドルフ判事は12月、同社のこの請求を退けた。
制裁措置の執行猶予を求めるよりも、「制裁の完全・即時執行に向けて同委員会と建設的に協力する」方に重点を置くことにしたと、デルマルティノ氏は説明する。
同氏によれば、「通信プロトコルのライセンス情報」の提供を開始するとともに、Media PlayerをバンドルしないWindowsの初のバージョンをコンピュータメーカー向けに供給しているという。この欧州版のWindowsは数週間以内に小売店などほかの流通網でも提供を開始すると同氏は言い添えた。
ただ、12月に第一審裁判所が下した決定には控訴しない方針だが、欧州委員会の制裁措置については今後も引き続き、長期的な裁判を通じて異議を唱えていくとデルマルティノ氏は強調。「当社の不服申し立てを法廷で審理する口頭弁論の期日が、年内には決まる見通し」だと述べている。
同社は「このプロセスを前進させるに当たって非常に楽観的な見方を持っており、12月の決定では、Microsoftの主張の多くは欧州委員会の決定を覆す根拠となる可能性があると裁判所が指摘したことに意を強くしている」とデルマルティノ氏は話している。
欧州裁判所での裁判は、最大で5年がかりになる見通し。
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