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コラム
» 2005年02月14日 15時52分 公開

「製品パッケージ」の謎に迫る(4/4 ページ)

[小寺信良,ITmedia]
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これからの製品パッケージ

――箱の話に戻りますけど、最近はいろんな製品の箱が平たくなっているように思うんですが。

亀井 デジカメのパッケージデザインでは、他社も含めて薄く平たくという傾向にありますね。たとえ面積が大きくても、高さが低いのが好まれるようです。

 製品というのは立体ですからだいたい六面体なんですが、もっとも積載効率のいい方向に入れるのが本当はいいわけです。ですがビデオカメラなんかは、立った状態に置かれること前提にすべてが設計されてますから、横向きで入れると輸送時の衝撃と振動が問題になります。

――つまり横向きだと製品強度が足りないと?

 振動試験をした結果、やっぱり縦にせざるを得ない時期もありました。それから各デバイスの開発セクションと協力して試験を繰り返しながら、各パーツをある程度の強度まで高めていって、今では縦でも横にも入れられるようになりました。そこでようやく、高さの低い箱ができるようになったわけです。結果的にはお客様にとっても強い商品になるわけですから、すべてがいい方向に向かっていったわけですね。

――製品自体も、小さく平たくなる傾向はありますよね。

 今箱の大きさを決める要素は、本体よりもマニュアルの面積ですね。ですからなるべくマニュアルも小さくする方向になってきています。

photo 箱のサイズを支配するのはマニュアルの面積

――マニュアルの電子化というのはまだ先の話でしょうか。

神保 マニュアルを持ち歩きたいというお客様もいらっしゃいますし、すべての製品がパソコン前提というわけでもありませんので、まだ難しいですね。ただ、サイバーショットでは、「Cyber-shot Life」という取説ムービーを入れるという試みも行なっています。

 最近はiPodのヒットによって、一般消費者も優れたパッケージに触れる機会が多くなっている。この傾向をどのように分析しているのだろうか。それぞれの立場から伺ってみた。

神保 iPodの存在は、かなり特殊ですね。やはりAppleだから、という点は大きいでしょう。買ったときの感動は、すごくあると思いますね。

亀井 長年ソニーはブルーのカートンをずっと続けていまして、海外の店頭では「ソニーといえば青」と思われているところがあります。極端にかっこいいパッケージにしてみたいという思いもあるんですが、ソニーのブルーというイメージは大切にしていきたいですし。

 何かスペシャルなモデルに対してチャンスがあれば、ああいうものもやってみたいですね。箱にお金かけていいと言われたことは一度もないんで(一同笑い)。でも、お金をかけずにバリューを上げられるのは、デザインの力なんじゃないかと。例えば箱には何色塗ったって、印刷代は一緒なんですよ。デザインでバリューを上げることは、タダでできますから。

亀井 欧州アジア圏では、本体の箱を山積みすることが多いんです。例えばハンディカムの箱は、沢山重ねるとハンディカムの「H」の字が沢山あるように見えるようなデザインになってるんです。

 国内ではカートンを山積みで置かれるということはないですけど、置かれる国ではこの箱を見て「欲しいな」と思ってくれるデザインを目指しています。


 普段、我々がモノを買うときは、店頭で展示品を見たりして確かめたあと、品物を受け取る時に初めてパッケージを目にすることになる。ネット通販では、到着したとたんいきなり開封ということにもなるだろう。我々にとって製品パッケージとは、非常に短命なものだ。

 しかし筆者はiPodを買ったときに、「んなもん箱は段ボールでいいから1000円マケろ」とは思わなかった。やっぱり丁寧な梱包には、我々ユーザーが大切にされているという気持ちと、イイモノを買ったという満足感を感じる。

 箱を手に取ったとき、そして開けたときに、どれだけの感動があるだろうか。これからそういう目でパッケージを見ていくことで、製品に対する付加価値の考え方も変わっていくように思う。

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