NECエレクトロニクスは7月4日、ハイエンドレコーダー向けLSI「EMMA2RH」を来年初めから量産出荷すると発表した。デジタルハイビジョン(HDTV)受信機能を統合した上、1チップに合計12のCPUを内蔵し、デジタル放送とアナログ放送を3番組同時に録画できる。
同時に、普及型DVDレコーダを安価に製造可能な「EMMA2R-FE」も同時期から量産すると発表した。デジタルレコーダーはハイエンドと普及機の二極分化が進むと見ており、それぞれのニーズに対応したチップを同時投入できる技術力で、レコーダー用LSIトップクラスのシェアをさらに拡大させる。
EMMA2RHは、デジタルハイビジョン放送受信機能とレコーダー機能を世界で初めて統合。従来は別々のチップが必要だったが、両機能を1チップ化することでストリーム記録性能を効率化できる上、部品点数の削減による低価格化や開発効率の向上が図れる。
LSI内部には12個のCPUコアを搭載した。同社のシステムLSIプラットフォーム「OViA」(関連記事参照)に対応した初の製品として、アプリケーション用OSにLinux、アプリケーション用CPUに64ビットRISC(MIPS)を採用。リアルタイム処理用には32ビットRISC(同)をあて、処理を分散化した。
ストリーム記録の効率化と処理能力の高性能化で、アナログ2チャンネルとHDTV1チャンネルの同時録画が可能になった。デジタルハイビジョン録画中にアナログ裏番組を録画し、さらにデジタルハイビジョン記録した番組をDVDにムーブする、といった処理にも対応できる。HDDへの高速書き込みにも対応できるよう、HDDインタフェースとして初めてSerial ATAを3チャンネル装備した。
EMMA2R-FEは、DVDレコーダーのフロントエンドとバンクエンドを1チップ化した初の製品。記録型DVDドライブ駆動機能と、データの圧縮・伸張、3次元Y/C、プログレッシブ出力機能など、レコーダーの主要機能を統合。部品点数や実装基板サイズを従来の約6割に削減でき、100ドル以下クラスの低価格製品も容易になるとしている。
両製品とも10月にサンプル出荷を始め、量産時の月産規模はRHが30万個、R-FEが100万個を見込む。サンプル価格はRHが2万円、R-FEが5000円。
レコーダー市場は日欧で急拡大中だ。調査会社のTSRによると、世界需要は2005年の1830万台から2008年には3170万台に増加。市場はデジタル放送対応やホームサーバ機能を持つ高級機と、DVDプレーヤーやVHSビデオの置き換え需要を中心とした安価な普及機への二極分化が進むと見られている。
HDTV録画対応機は来年の地上デジタル放送全国展開とサッカーのワールドカップが刺激になりそうで、NECエレは「製品価格が10万円を切ると本格普及期に入る」と予想。HDTV受信機能と高性能なレコーダー機能をいち早く統合した新製品の投入で普及を後押しする。
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