新製品デジカメというと、どうしても各社が力を入れている売れ筋の「薄型スタイリッシュコンパクト」や、12倍ズーム・動画デジカメといった“個性的で一芸に秀でた”製品に注目が集まりがち。けれども、その下に位置する「エントリー向け」や「廉価版」とも呼ばれる製品群も、最近はかなりレベルアップして魅力的になっている。
今までのエントリー機は、「ずんぐりして大きめなボディ」と「やや重めの重量」と「プラスチックな外装」と「ダサいデザイン」というイメージがあったけれども、(確かに外装は樹脂系で、金属を使ったスタイリッシュ系に比べると野暮ったいのだが)カメラとしては適度にコンパクトで、機能面も充実し、クオリティも上がっているのだ。
それが例えば、富士写真フイルムの「FinePix A305」であり、松下電器産業の「LUMIX DMC-LS1」であり、今回レビューするキヤノンの「PowerShot A520」なのである。
エントリー向けのデジカメで気になるのは、最新技術や機能の多さよりも、やはりカメラとしての基本性能や、どこでコストダウンしているかということ。
PowerShot A520は1/2.5インチ400万画素CCDを搭載した光学4倍ズーム機。現在主流の500万画素に比べると少し物足りないが、日常的な利用では十分な解像度だ。500万画素とといっても400万のほんの1.25倍しかないわけで、実用上の差異は非常に小さい。
レンズは35〜140ミリ相当の4倍ズームレンズ。ワイド側が35ミリから始まるのは日常利用として非常に便利だ。薄型スタイリッシュ系では38ミリからスタートする機種が意外と多く、ほんのちょっとワイド側が足りなかったりするからである。さらにテレ側は140ミリまであるので、光学3倍ズーム機よりもう少し余計に寄ることができる。
レンズもF2.6-F5.5とワイド側で明るく、絞り値も1/3段刻みでF8.0までセットできる。さすがにレンズ性能はハイエンド機に比べると劣る面もあるが(収差やコーティングなど)、薄型機と比べて小型化に苦労しなくてもよいため設計に無理がなく、それほど悪いわけじゃない。
さらにオプションで1.75倍のテレコンバーターと0.7倍のワイドコンバーター、クローズアップレンズ、水中撮影用のウォータープルーフケースなども用意されている。このクラスとしてはユニークなほど非常に高い拡張性だ。
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