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コラム
» 2005年07月31日 02時00分 公開

コラム:次世代著作権保護技術を見据えた「賢いAV機器選び」 (2/3)

[本田雅一,ITmedia]

有力な出力制御案は2つ

 そこで、どのような出力制御ならば、コンテンツベンダーは許容できるのか。コンテンツを提供する側と普及に際しての障害を取り除きたい家電メーカー側の間で、妥協案が話し合われている。有力な手法はふたつある。

 まずHDMI端子付きのテレビが十分に普及できるだろう時期まで、時限的にアナログハイビジョン出力の制限を可能にするという案だ。その時期がいつ頃かといったところは議論のあるところだが、既存のアナログ端子しか持たないハイビジョンディスプレイのユーザーが買い換えもやむなしと思える時期までとなると、日本ではアナログ放送が停止される2011年ごろが有力だろうか(それでも不満は出るだろうが)。しかし、コンテンツベンダー側はもっと近いタイミングを狙っているようで、ここでも議論の余地がかなりある。

 もうひとつはコンテンツを提供する側が、発売タイトルごとにアナログ出力の許可レベルを指定できるフラグを設けるというもの。1080pまではOK、あるいは720pまでしか出力できない、480p以下のみ、といった情報をディスクに書き込んでおく。どのような選択を行うかは、コンテンツベンダー次第ということになる。

 さらにはこの2つの手法を組み合わせる案も考えているようだ。つまり、ある時期までは1080pまでをアナログ出力可能だが、その後はフラグに従った制御に切り替えるというもの。

 いずれも消費者にとって理想的な代案とは言い難いが、他方、コンテンツベンダーにとっては譲歩できるギリギリの線でもある。次世代光ディスクには、リアルタイムMPEG-2圧縮のデジタルハイビジョン放送とは比べられないほど高品質な映像が入ってしまう。これをコピーされる事は、コンテンツ提供側にとっても資産を丸ごと盗まれるようなものだからだ。

 ただ、あまり厳しくしすぎると、コンテンツベンダーも商機を逃すことになる。実はハリウッド映画会社のDVD売り上げは、特に今年、軒並み予想を下回っている。右肩上がりの出荷本数増加は望める段階ではない。次世代光ディスクによる市販パッケージの販売は、コンテンツベンダーにとっても急務になりつつある。急に売り上げが爆発することはないだろうが、今からでも取り組んでおき、少しずつでもDVD以外の新しいメディアへと移行したい。そのためには普及の足かせは可能な限り少ない方がいい。

 いつもならガンとして突っぱね、議論の余地もないであろうコンテンツ保護まわりの議論で、ここまで長期の話し合いが行われているのは、映画会社もまた、何らかの着地点を探したいと考えているからに他ならない。

HDMIさえあれば

 現時点でのユーザーの防衛策は、とにかくHDMI(もしくはHDCP対応DVI)端子を装備したテレビあるいはプロジェクターを選ぶことである。「次世代光ディスクなど見ないから不要」という人も、将来、HD映像のパッケージが当たり前になった時に後悔はしたくないだろう。

 したがって自己防衛策としては、とにかくHDMI端子付きのテレビやプロジェクターを選ぶこと。このルールさえ守っておけば、どのような状況にも対応できる。そうしたメリットと、HDMI搭載機種と非搭載機種の価格差を考えた上で、妥当な着地点を自分で見つける以外に方法はない。

 AACSにおける議論は、いまだコンテンツベンダー側が強固にアナログ出力を480pに制限しようとしているが、最終的に何らかの救済案が採用される可能性はゼロではない。だからわざわざ高価なモデルを選ばなくても……と思う気持ちもあるだろうが、テレビの買い換えサイクルはPCや携帯電話とは違うのだ。

 AACSの行方がどうなるかは別としても、長期的に見ればデジタルインタフェースへの移行は避けることができない。ならば今のうちから対応機を選んでおくのが得策だろう。

音声出力の制限は?

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