季節は秋。海で遊ぶにはベストシーズン。ということで「船上の撮影術」を考えてみたい。自然で遊ぶ、といえば海とともに山!である。世にあるアウトドア雑誌や山岳専門誌、そしてダイビングや釣り雑誌でも読者の投稿写真が誌面を飾っている。ところが同じ海でもプレジャーボートの雑誌では、投稿写真が掲載されることはほとんどない。なぜだ?
「写真が趣味です」と言うときは「銀塩」「一眼レフ」カメラを使っています、ということでなければならないらしいが、この大きな、そしてデリケートな機械を揺れる小船で扱うのは大変難しい(防水のためにハウジングを取り付けるとなおさら)。そして、揺れる小船で撮影すれば失敗カットが膨大に発生する。1本のフィルムで使えるカットが1枚2枚あればラッキー。丸々全部失敗することだってよくある(とあるベテランスキッパーが嘆いていた)。
高価な防水ハウジングが買えないから使い捨てのレンズ付きフィルムでいいや、ありゃ、なんか赤茶けた色になっちゃった、という経験をしたスキッパーも多いと思う。海で「目の覚めるような青」を撮るためには、適切なレンズフィルターが必要になる。
このように、銀塩カメラでアマチュアが気軽に「船上撮影」を楽しむには、機材とスキルのハードルがちょいっとばかり高かった。しかし、デジタルカメラを使うことで「無駄撮りが多い」「大きくて扱いにくい」「レンズフィルターが必要」という問題は解決する。300枚も撮れるから、失敗を恐れずどんどんシャッターが押せばいい。どんどん撮ればいい構図で写っている画像も多くなる。片手で構えられれば片手で船をつかんで身の安全が確保できる。そして、デジカメにセットされている「シーンモード」を使えば、レンズフィルターを使ったような鮮やかな青が撮影できる。
しかし、デジカメにも泣き所が。電子部品の塊となったデジカメは海水にからっきし弱い。たとえ“凪いだ海”で使っても、手には舫いを扱ったときについた海水や船体にこびりついた塩がついている。その手でカメラを扱うと内部に海水が入り込こんで後日故障、という事態になる(そうなって泣いているスキッパーもマリーナでよく見かけた)。
また、「荒れた海」というのはなかなかいい構図が撮れる機会でもあるのだが、そういうときに頭から被る「波」の水圧は生活防水レベルデジカメや「ジブロック流用防水パック」で耐えられるレベルではない。しかし、最近では「水圧」に耐えられるコンパクトなデジタルカメラが安価で入手できる。ハードウェア的には「気軽に船から海を撮影する」条件が整ってきてるのだ。
今回掲載した多くの画像は10月に出荷が開始されたペンタックスの「オプティオ WPi」で撮影している(カメラの詳細はこちらの記事を参照)。実をいうと、この企画は初代防水コンパクトカメラ「オプティオ 43 WR」の発売当初からスタートしていたのだが、「いい波」を待っているうちに「オプティオ WP」「オプティオ WPi」と三代にまたがる「大河企画」になってしまった(ペンタックス広報の川内さん、本当にごめんなさい)。
なお、今回は無理いって使わせてもらったβ版で撮影しているため、撮影画像の画質は製品版と大分異なる(そのため、原寸画像の掲載はしていない)。この記事は画質を評価する正統派製品レビューではないので、そのところを注意してこの記事を読んでいただきたい
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