SONY BMGがCDコピープロテクトソフト「XCP」をめぐる騒動に対してリリースしたパッチが、一部のコンピュータをクラッシュさせるかもしれない。この騒動の中心となったコンピュータ専門家が指摘した。Winternals Softwareのチーフソフトウェアアーキテクト、マーク・ルシノビッチ氏は11月4日、XCPに関するさらなる調査結果を公表し、このパッチの問題を論じるとともに、この製品に関する新たなプライバシーの懸念を指摘した。
同氏によると、SONY BMGのパッチの設計上のミスにより、理論上、このパッチをインストールした時にコンピュータがクラッシュする可能性がある。クラッシュが起きる危険性は低いが、この問題はSONY BMGの評判をさらに損なうものだと同氏は言う。「このパッチを作ったのが誰にせよ、Windows向けドライバ作成の経験がそれほどないことは明らかだ」と同氏は4日、取材に応えて語った。
ソニーは2日に、「XCP(Extended Copy Protection)は、スパイウェアやウイルスが検知やPCからの除去をほぼ不可能にするためによく使っている手法を利用している」との苦情を受けて、このパッチをリリースした(11月3日の記事参照)。XCPがコンピュータのパフォーマンスを低下させるか、ハッカーによって悪用された場合、修復は極めて困難かもしれないとルシノビッチ氏ら批判派は指摘していた。
このパッチは、システムツールやウイルス対策製品がXCPを検出できるようにする。
SONY BMGは英国のFirst 4 Internetという会社からXCPのライセンスを受け、今年に入ってから不正コピー防止のために同ソフトを一部のCDに組み込んで出荷していた。SONY BMG幹部は、XCPが組み込まれたCDはわずか20作程度だとしている。
First 4のマシュー・ギリアット−スミスCEO(最高経営責任者)はこの件に関するコメントを避けたが、ルシノビッチ氏のブログに寄せられた、同氏の結論に異を唱えるコメントを挙げた。
ギリアット−スミス氏によると、このコメントは匿名のXCP担当者によるもので、システムクラッシュの可能性に関するルシノビッチ氏の結論は「ただの憶測」だと述べている。
ルシノビッチ氏は4日のブログのエントリで、XCPソフトがSONY BMGのWebサイトと通信しているように見えることを示すさらなる調査結果を公表した。これは今まで明かされていなかったことだ。
XCPクライアントは歌詞やアルバムのジャケットのアップデートを探すためにSONY BMGのサーバに接続するようだが、その方法がプライバシーの懸念をもたらすとルシノビッチ氏。「わたしはSONYがこのデータを何かに使っているのではないかと疑っている。このような接続により、同社のサーバはコピープロテクトが施されたCDが再生されるたびに、再生に使われたコンピュータのIPアドレスを記録することができる」と同氏はブログの中で述べている。
SONY BMGの広報担当ジョン・マッケイ氏は、同社はXCPをユーザー情報の収集に使っていないと主張する。「何の情報も収集していない。それは確かだ」
ルシノビッチ氏の4日のブログの内容はここで見られる。
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