発売日:2005年12月15日 価格:3360円 発売元:コミックス・ウェーブ 上映時間:25分(本編) 製作年度:2005年 画面サイズ:シネマスコープサイズ・スクイーズ 音声(1):ドルビーデジタル/2.0CHステレオ/日本語 |
たったひとりで作っちゃった怪獣映画「惑星大怪獣ネガドン」は、昭和40年代東宝特撮映画テイストの映像をフルCGで再現、各方面で話題をさらった傑作です。本編は約25分。ってその尺じゃあテレビじゃねえかよという話もありますが、最初からこれを映画と言い切ったところに、監督および制作会社の熱意と戦略が感じられます。
ITメディア読者にとって真ん中高めのストライク、大好物であろう本作の魅力についてご説明させていただきます。
自宅の2階6畳の部屋で作ったはいいが外に出ないもの、そんな感じっしょ? ってスチャダラパーが昭和70年頃にラップしてた(※)わけですが。まさに自宅で作ったスゲーものが世の中に出ちゃった感じです。
※アルバム「5th Wheel 2 the Coach」収録「ドゥビドゥ What?」より
たったひとりで作っちゃったのは粟津順監督。昭和49年生まれ、美術系大学卒業後、専門学校でCGを学び制作会社へ。平成ゴジラ後期作品において3DCGのモデリング、アニメーションなどを担当していたといいます。で、昭和78年、会社を辞めちゃいます。30歳手前の年。何となくわかります、その感じ。
そして、貯金と退職金で食いつなぐ覚悟で、迷わず新作映画「ネガドン」の制作に取りかかります。でもひとり。そうこうするうち10カ月ほど経過したところで資金ショート気味に。しかしネットで特報を流すと、いくつかの制作会社からオファー。「ほしのこえ」を世に出したことで知られるコミックス・ウェーブ社と契約し、制作を続行します。でもひとり。そんでもって2年4カ月の歳月を費やし、約25分の超大作が完成しました。
タイトルですね。ネガドン。というわけで怪獣の名前のことは円谷プロにきいてみましょう。昭和53年初版発行「ウルトラ怪獣全(オール)百科」(小学館コロタン文庫)によりますと、ドンが付く怪獣は以下の通りだドン。
ガバドン(ウルトラマン)
ゴルドン(ウルトラマン)
スカイドン(ウルトラマン)
テレスドン(ウルトラマン)
バードン(ウルトラマンタロウ)
パンドン(ウルトラセブン)
マグネドン(帰ってきたウルトラマン)
リンドン(ウルトラマンタロウ)
以上五十音順
ネガドン、という響きがウルトラ怪獣っぽいので調べてみました。「ドンもの」はやはり昭和40年代のウルトラマンに多し。って、だから何だということで直接関係ありません。すみません。
ネガドンの姿は昭和45年製作の東宝特撮映画「南海の大怪獣」に登場した、ゲゾラ、ガニメ、カメーバを足して3で割った感じで、手足が3本の異形の生物。メカ生物っぽい感じはエヴァンゲリオンに毎週出てきた使徒にも似た雰囲気です。見る人の年齢や怪獣経験値によって、いろいろなものが連想されることでしょう。
一方、劇中のセリフに、ネガドンという名前が一切出てこない、というのも粟津監督のこだわりとのことです(映像特典のインタビューより)。「あっ、ネガドンだ!」(指を指しつつ)みたいのはナシ。あまつさえ怪獣映画お約束の逃げまどう人々の描写もありません。
ちなみに、逃げ惑う人々ばっかり描いた「宇宙人東京に現る」(竹内力さんがスゴイ役どころ)という作品があります。また、どちらも出てこずテレビの実況だけで怪獣を描いた小品に、TVシリーズ「やっぱり猫が好き」の「ブジラVS恩田三姉妹」なんてのもありますな。
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