ソニーのBlu-ray Discレコーダー「BDZ-V9」が、いよいよ発売された。
「CEATEC JAPAN 2006」での発表後、BDZ-V9の評価記事もちらほら見かけるが、今までのサンプル機はBDビデオの再生機能が“評価外”だった。録画機能に関しては、比較的早い段階で完成していたものの、画質の最終チューニングが終わっていなかったためだ。
そうした経緯をふまえ、今回は主にBDプレーヤー、DVDプレーヤーとしての評価、それに最終版となった再生画質や音質を中心にインプレッションをお届けしたい。録画やディスクへの保存機能が重視されるレコーダーとはいえ、約30万円の製品である。レコーダーとしての使いやすさや機能はもちろん、AV機器としてのクオリティも高いレベルを求めたいからだ。
テスト機が到着し、いつも評価に使用している、いくつかの放送録画を記録したBD-RE1.0を再生させ、一番最初に感じたのが音の良さだ。デジタル放送のAAC音声、とくにビットレートが低くなるサラウンド音声は、音が薄っぺらく、音数も減った音になちがちだが、ほかの多くのデジタルハイビジョンレコーダーに比べ、明らかにキレの良い音が出てくる。
さすがに“厚み”までは感じないが、S/N感の改善からか音数が増え、コンサート映像でよくあるような“寂しい感じ”が、かなり緩和される。セリフのキレもよく聞き取りやすい。オーディオDRCの設定は、もっとも弱い「スタンダード」にしているのだが、それでも周波数レンジが広がったように聞こえる。
試しにオーディオCDを再生してみたが、同軸S/PDIF端子の音質はなかなかのもの。もちろん、専用オーディオプレーヤーにはかなわないが、レコーダーの中ではトップクラスのデキだろう。良くできたDVDプレーヤーに近い仕上がりだ。DVD再生時の音も、同じようにパンチとキレのある音になっている。
ではアナログ音声は? と、アナログ音声の音を確認してみると、こちらもとても良好。2チャンネルのステレオ音声しか出てこないのが恨めしいほど、きちんと作り込まれている。BDレコーダー1号機の「BDZ-S77」もまた、非常に音質の良いレコーダーだったが、それに近い品質を備えている。
デジタルレコーダーは、コストダウンが繰り返された結果、音質の良い製品がほとんどなくなってしまったが、BD 2.0世代となって仕切り直した第1号機だからこそ、これだけ力を入れて音質を良くしたのだろうか? 真相はわからないが、せっかく良い出来なのだから、このクオリティを今後もキープしてほしいものだ。これから続く世代交代の中で、確実にコストダウンが進んでいくと思われるが、ソニーがAVメーカーとしての立ち位置を死守していくには、こうした総合家電メーカーが取りに組みにくいところで、過去のノウハウを活かしていくべきだろう。
次にプレーヤーとしての実力をチェックしてみよう。日本ではBDプレーヤー専用機の発売が予定されておらず、「プレイステーション3」(PS3)を除けば、録画したディスクも、市販ディスクも、BDはすべてレコーダーで再生しなければならない。品質面だけでなく、使い勝手の面でも、専用プレーヤーのニーズはあると思うのだが……。
それはともかく、先ほどの評価用ディスク、そしてBD-RE2.0に録画したディスクの画質をチェックしてみた。
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