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LED照明の“買い時”(2/2 ページ)

» 2007年03月12日 21時00分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 一方、ダウンライトのようにシステム単位で供給される照明器具については、「LED照明も実用段階に入った」とメーカーは口を揃える。たとえばダウンライトを複数配置して全体の明るさを確保する場所……広いリビングルームや店舗スペースは、メンテナンス(取り替え)の手間を省き、ランニングコストを抑えつつ、実用的な明るさを確保できるLED照明は魅力だろう(下表参照)。一般の家庭においても、新築やリフォームのタイミングなら検討する価値はある。

photophoto ナショナルは、白熱電球60ワット相当の「EVERLEDS」(エバーレッズ)シリーズを展示。色味まで調整できる調光システムをホームシアター向けに提案する
メリット 補足
省電力 数ワットの消費電力で数十ワットぶんの明るさ
長寿命 メンテナンスが難しい場所でも利用可能。電球交換の手間を省き、ゴミ削減にも一役買う
多彩な色表現 光の三原色(RGB)が揃っているため、表現の幅が広い。インテリアや調光システムに応用できる
コンパクト 電球や蛍光灯に比べて光源が小さい。インテリア性の高い照明器具を作成可能
発熱が少ない エネルギーを効率よく光に変換し、既存の電球に比べて発熱が少ない(熱が出ないわけではない)

 残る課題は、初期導入コストだ。たとえばナショナルのダウンライト「EVERLEDS」(エバーレッズ)シリーズは、白熱電球60ワット相当(320ルーメン)の明るさを確保しているが、1台あたりの価格は税抜き4万700円。ミニクリプトンランプを使用した60ワットのダウンライトが6000円前後で購入できることを考えると、まだ差は大きい。

 ただし、前述の東芝「E-CORE」は、40ワット相当ながら1台あたり2万790円という価格を打ち出した。これは、冒頭で触れた京都議定書の達成目標値――価格は3.8倍以内でエネルギー消費量は5分の1――を超える“価格は3.2倍でエネルギー消費は7分の1”レベルである。

 同社の試算によると、「たとえばマンションのエレベーターホールに12台のダウンライトを設置する場合、イニシャルコストはミニクリプトン球の7万5000円前後に対して、LEDは23万7000円と3倍以上。しかし、消費電力は36ワット対5.3ワットで、ランニングコストを考慮するとイニシャルコストの差は2年以内に回収できる」という。しかも、電球交換の手間はなく、イニシャルコスト回収後もランニングコストは安いままだ。


 ナショナル「EVERLEDS」との価格差からもわかる通り、「E-CORE」は競争力を重視し、京都議定書の目標値を満たすための“戦略的な値付け”といえる。この点は同社も認めており、本来の製造コストとメーカーの適正な利潤を確保する意味では、LEDが普及する価格帯には達していないのかもしれない。それでも、消費者としては同社のアグレッシブな値付けには注目だ。

 また、LEDに限らず、進歩の早い製品ジャンルでは「次に出る製品のほうが安くて高性能」が当たり前で、そのぶん購入するタイミングには気を遣う。ただし同社によると、E-COREの場合は価格が戦略的のため、今後1〜2年というスパンでは劇的な値下がりは考えにくいという(性能面は別の話)。まだまだ高価なLED照明だが、短期的には“買い時”と言えそうだ。

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