プラズマと液晶、それぞれのメリットとデメリットは数え上げればきりがないが、薄型テレビの購入を検討するユーザーが店頭で両社を見比べた際、プラズマに大きく不利な条件がひとつある。それが「照明の映り込み」だ。
プラズマはパネルの構造上、何らかの保護材を最表面に配置する必要がある。その保護材にはパネルの自発光を遮らない高い透明度が求められており、主としてガラスが採用されている。ただ、透明な素材は一般的に反射率も高いため、どうしても照明や窓から入り込む自然光を反射してしまい、それが「映り込み」として視聴の妨げになってしまう。
これはプラズマの構造に起因する問題であり根本的な解決は難しいが、各社はその改善に力を入れ始めている。最も早くから対策を施しているのがパイオニアだ。
同社はプラズマの前面からガラスを取り除き、保護材をパネルと一体化した「ダイレクトカラーフィルター」を2004年5月発表のモデルから採用している(関連記事)。昨日発表された新モデル(関連記事)ではこれをさらに進化させた「新ダイレクトカラーフィルター」を導入することで、映り込みの抑制を図っている。
「新ダイレクトカラーフィルター」の原理はこれまでのダイレクトカラーフィルターと同様だが、表面処理加工に変化を加えて映り込みを「従来の半分」(同社)に抑制しつつ透過率も高められており、結果としてパネル自体の明るさは従来製品そのままながら、「明るい場所でも見やすいプラズマテレビ」を実現している。
気になるその効果だが、「量販店店頭などで新旧モデルを比べても、映り込みの違いははっきりと分かるはず」という。確かにDisplay 2007の同社ブースではフィルターのみが異なる2モデルを並べてデモが行われていたが、確かに照明の映り込みは新製品の方が少ない。
ただ、それ以上に違いが分かりやすいのが視聴中の黒の表現と、何も写していない状態での映り込みだ。新フィルター装着製品の方が白黒のコントラストが鮮やかで、黒の引き締まり感も鮮明。電源OFF時に至っては旧フィルター装着製品の画面はグレーに見えてしまうほどだ。
この「新ダイレクトカラーフィルター」が導入されているのは現在、「PDP-A507HX」「PDP-A427HX」の2製品のみで、60V型(PDP-607HX)とフルHDモデル(PDP-5000EX)には採用されていない。ただ、これは売れ筋の製品から新フィルターを導入し、市場の反応を見たいという同社の意向によるものであり、そう遠くないうちに全モデルにこのフィルターが採用されることになるだろう。
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