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東芝の“勝負機”「RD-A600」を検証する(前編)(1/3 ページ)

» 2007年07月18日 11時43分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
photo 「RD-A600」。ドライブやボタン配置などは「RD-S600」に準じているが、前面パネルは直立したデザインとなり、高級感を増した

 東芝の「RD-A600/A300」が登場した。HD DVDレコーダーとしては、既にフラグシップモデル「RD-A1」が存在するが、こちらは初のHD DVD搭載機という記念碑的な製品で、機能、価格ともに一般コンシュマー向けではない。対して「RD-A600」は、多機能DVDレコーダー「RD-S600」の機能をベースにHD DVDドライブを追加した形で、一部機能はRD-A1をも上回りつつ、価格は通常のハイエンド機レベルに引き下げた。機能、価格の両面でBlu-rayレコーダーと真正面からぶつかる最初のHD DVDレコーダーといえる。

 まずスペックをおさらいしておこう。前述のようにレコーダーとしての基本機能はRD-S600から継承しており、2系統の3メディア対応デジタルチューナーと地上アナログチューナーを搭載し、デジタル+デジタル、デジタル+アナログの2番組同時録画(W録)に対応している。MPEGエンコーダーも1系統装備しているため、デジタル+デジタルの2番組同時録画でも片方をSDクオリティにダウンコンバートしながらの録画可能だ。これはRD-A1に欠けていた部分(RD-A1はデジタルチューナーは1系統)で、競合するBlu-rayレコーダーの多機能モデルとほぼ同等である。

photophoto 前面右側には電源とW録、ドライブ切替ボタン、右側にはトレイ開閉と最小限の操作ボタンがならぶ。これらはRD-S600と同じ

 注目のHD DVDドライブは、HD DVDビデオの再生とHD DVD-R/DVD-R DL(1層/2層の追記メディア)への保存/再生に対応。放送波クオリティでTS録画した番組をそのまま高速ダビングすることも可能だ。HD DVDは、メディア容量やムーブする時間に関してBlu-rayよりも不利な点があるのは事実だが、RD-A600ではそれなりの解となる手法も取り込んでいる。この点に関してはレビューの中で検証していくつもりだ。なお、リライタブルのHD DVD-RWには未対応となっており、将来的なアップデートなどによる対応も現状では言及されていない。

photophoto HD DVDドライブはセンターマウント。トレイは軽く押し込むだけでスーっと引き込まれる。些細なことだが、使っていて気持ちが良かったポイントの1つだ。前面の入力端子は、1系統のS端子付きAV入力およびDV専用のi.LINK

 DVDメディアへの保存は、DVD-R/DVD-R DL/DVD-RW/DVD-RAMに対応しており、全てのDVDメディア(CPRM対応)にデジタル放送を保存可能。ダビング速度はRD-S600よりも一歩後退したDVD-Rで最大8倍速となるが、本機の位置付けを考慮すれば重大なスペックダウンとはいえないだろう。なお、DVD-RAMがカートリッジ非対応となっている点は従来のRDシリーズと異なる(例外的に非対応製品も存在したが)。

 HDDは型番から想像される通り600Gバイトを内蔵。カタログスペックでは地上デジタル放送のTS録画(放送波クオリティ)で約78時間となっており、この点はRD-S600と同じだ。入出力端子も、もともと豊富だったRD-S600の仕様をほぼ継承しており、特徴的なD1入力端子やスカパー!連動端子も装備している。

photo 背面には2系統のS端子付きのAV入力(内1つはD1入力対応)、2系統のS端子付きのAV出力とD4対応のD端子出力、HDMI出力、i.LINK、スカパー連動、LAN、アンテナ入出力などが並ぶ。外部チューナーの接続時に便利なお馴染みの電源OFF時の入力3スルー出力機能もサポート。配置は変更されているが、端子の数はRD-S600と同じだ

 HD DVDドライブの搭載にあわせる形でアップグレードされたのが、HDMI出力の1080p対応。またアップスケーラーとしてRD-A1同様に米アンカーベイ・テクノロジーズ製のチップが搭載されている。またi.LINK端子はRDシリーズでは初めてMPEG2-TS入力をサポート。i.LINKのMPEG2-TS出力をサポートするRDシリーズからTS録画した番組を本機のHDDへダビング(ムーブ)し、HD DVDメディアへダビングすることが可能になっている。

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