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「シコふんじゃった。」では相撲を、「Shall we ダンス?」では社交ダンスを取り上げた周防正行監督が11年ぶりにメガホンをとった。今回のテーマは“裁判”。痴漢冤罪をモチーフに、日本の裁判制度の問題点を浮き彫りにした「それでもボクはやってない」が8月10日、スタンダード・エディション(3990円)とスペシャル・エディション(6300円)の2種類でDVDリリースされる。
本編はTHX仕様。スタンダード・エディションの特典はスタッフ&キャスト紹介、テレビCM、特報、劇場予告編の他、周防監督と笠井信輔アナウンサーによる音声解説を収録。どんなウラ話が飛び出すかお楽しみに。
スペシャル・エディションの特典ディスクは北海道から博多まで、日本全国をキャンペーンで回った監督に密着した“ビデオポッドキャスト 周防正行 日本あっちこっち”、撮影中の俳優や監督の素顔を中心に捉えたメイキング映像“周防正行、裁判を撮る”、監督自身がデジカメで撮影してブログにアップしていた静止画集“周防正行のいつもデジカメ撮ってました”など216分のボリューム。初回のみデジパック&アウターケース仕様で、刑法・刑事訴訟法ハンドブック付き。
就職活動中の金子徹平は面接に向かう満員電車の中で痴漢に間違えられ、現行犯逮捕されてしまう。身に覚えのない彼は必死に無実を主張するが、頭から犯人と決め付けられ、あれよあれよという間に警察署へと連行される。同じく現行犯逮捕された中年サラリーマンは罪をあっさり認め罰金を払い、「すみませんでした」と数時間後には釈放。
一方の徹平は「ボクはやってない!」の一点張りで、当番弁護士に「勝ち目はありませんから」と示談を勧められるが、あくまで無実を主張する。有罪率99.9%と言われる刑事裁判。母親、親友、元恋人、元裁判官の弁護士と新人弁護士、同じ冤罪事件で闘っている人々の協力を得て、長く厳しい運命の裁判が幕を開けた。
周防監督の膨大な取材量に基づく、痴漢冤罪裁判の実情に驚かされる。たとえ無実であろうがなかろうが、そんものは関係ナシといわんばかりに処理しようとする警察と検察の対応にショックを受ける。もし万が一、有罪になってしまったらどうなるのだろうか?おそらく、仕事も家族も友人も失い、痴漢というレッテルを貼られてひっそりと生きていくに違いない。被疑者側としてみれば、たまったものではない。主人公の徹平を演じる加瀬亮の生っぽい芝居も秀逸で、監督がほれ込んで抜擢したというのも納得。
とても11年ぶりの新作とは思えない周防監督の語り口にひきつけられ、ストーリーの面白さとピンと張り詰めた裁判の雰囲気に、ついつい引き込まれてしまう。権力の横暴、人が人を裁くことの難しさなどを浮き彫りにし、見る側に様々な感情と興味を抱かせる社会派エンターテイメントである。
毎日、満員電車に揺られているサラリーマンは必見!他人事では済まされない、いつ遭遇するかもしれない災難、裁判劇の行方を身の引き締まる思いで見守ってください。
関連サイト:
http://www.soreboku.jp/index.html(公式サイト)
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