発売日:2007年9月7日 価格:4980円 発売元:ワーナー・ホーム・ビデオ 上映時間:143分(本編) 製作年度:2006年 画面サイズ:シネマスコープサイズ 音声(1):リニアPCM/5.1ch/英語 音声(2):ドルビーデジタル/5.1ch/英語 音声(3):ドルビーデジタル/5.1ch/日本語 音声(4):音声解説 |
今年のオスカー戦線で主要5部門にノミネートされたアクション大作がBlu-ray Discで登場。20世紀末のアフリカ・シエラレオネ共和国で繰り広げられるダイヤモンドを巡るドラマは、主演のレオナルド・ディカプリオにとっても新境地を開拓するものとなった。その証拠にオスカーとゴールデングローブ賞では「ディパーテッド」とともに主演男優賞にダブルノミネートを果たしたのだ。これまであまり目を向けられることのなかったダイヤモンドの裏取引の世界をBlu-ray Discの高画質はどのように描ききったのか?チェックしてみた。
アフリカのシエラレオネと聞いてその場所を知っている日本人などまずいないだろう。しかし、そこで産出されるダイヤモンドは世界中に売りさばかれ、その輝きに憧れる女性たちの指を彩っているのである。それが血塗られた経歴を持つものとも知られずに。
1999年、内戦状態にあったシエラレオネ共和国。そこは世界有数のダイヤモンドの採掘地を持つ国だったが、西欧諸国になびく政府軍と、それに抵抗する過激なRUF(革命統一戦線)の間で日々激しい戦闘が行われていた。しかも、RUFは自分たちの勢力を確保するため、一般市民を攻撃し、ダイヤの採掘に使える者は拉致し、少年たちは洗脳して兵士に育て上げていた。
映画「ブラッド・ダイヤモンド」で描かれるのはそんな世界を舞台に生きる3人のドラマである。ダイヤを密輸して生計を立て、いつかアフリカから脱出することを夢見るダニー・アーチャー。そのダイヤ密売の事実を突き止め、世界に事実を公表しようとする女性ジャーナリスト、マディー・ボウエン。そして、シエラレオネで漁師として暮らしていたにも関わらず、RUFによって家族と引き裂かれ、幻といわれるピンク・ダイヤモンドを発見したことで大きな運命の渦に飲み込まれるソロモン・バンディー。いずれも明確な目的のために生きる強い人物だ。
この力強いドラマを映画化したのは「ラスト サムライ」を大ヒットさせたエドワード・ズウィック監督である。この監督の長所は歴史的事実を丹念に調べ上げ、膨大なリサーチ結果を基にストーリーを構成していく手腕である。そのため、これまで監督した「グローリー」(1989)や「レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い」(1994)などはいずれも見応えのあるドラマとして今でも支持を受け続けている。
しかし、真剣すぎる眼差しが映画的な流れを阻害してしまうこともあり、湾岸戦争を描いた「戦火の勇気」(1996)やテロを描いた「マーシャル・ロー」(1998)などは、必ずしも成功作とは言いがたかった。この「ブラッド・ダイヤモンド」でもそうした生真面目さが裏目に出てしまうのではないかという不安が2時間23分という長尺に感じられたのだが、予想をはるかに越えた傑作に仕上がっていた。
とにかくテンポが圧倒的に早く、長尺なのに無駄が無い。どこに行っても内戦状態なので、アクションシーンは盛りだくさん。また、シエラレオネという知名度の低さを補うかのように、冒頭では地図を示し、劇中では移動先の実景をしっかり挟み込むと言う親切極まりない演出をしているのだが、これがまったくしつこく感じられない。映像の持つパワーが画面からにじみ出ているからだろう。
キャスティングも素晴らしい。主演のレオナルド・ディカプリオはこれまでのクリーンなイメージをすべて排してアーチャー役に挑戦。同時期に「ディパーテッド」で潜入捜査官もやっていたはずだが、撃った相手にとどめの一発を撃ち込むなんて、以前の姿からは想像もできない。
ジャーナリスト役のジェニファー・コネリーはすでに「ビューティフル・マインド」(2001)でオスカーを受賞しているが、信念に裏打ちされたこの役も充分受賞に値するものだ。
そして、特筆すべきなのがシエラレオネの住民ソロモン・バンディーを演じたジャイモン・フンスー。本作では生き別れになった家族を強く思う父親を演じ、オスカーにもノミネート。受賞こそかなわなかったが、今後デンゼル・ワシントンやジェイミー・フォックスを脅かす存在になっていくことは間違いないだろう。
発売元のワーナー・ホーム・ビデオはHD DVDとBlu-ray Disc双方でリリースすることをアナウンスしているが、制作上の問題か、本作についてはBlu-ray Discのみが先行発売となった(HD DVDのリリースは現時点で未発表)。
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