auが「au × sony “MUSIC PROJECT”」、ソフトバンクモバイルが「S!ミュージックコネクト」の開始を発表し、音楽配信というフィールドにおいて携帯電話とPCの垣根を越える動きが顕在化し始めている。
音楽配信サービス「iTunes Store」を提供しているアップルも状況を座視している訳ではない。5月にはDRMフリーの「iTunes Plus」を開始し(→Apple、DRMフリーの楽曲販売を世界同時スタート)、9月には9月にはiPod touchを始めとしたiPodの製品ラインアップを強化(→電話抜きiPhoneの「touch」、動画「nano」、大容量HDD「classic」――iPodが全ラインアップを改訂)、無線LANを利用した「iTunes Wi-Fi Music Store」も開始するなど活発な動きを見せている。
2005年8月の開始から2年が経過したiTunes Storeの現状と、音楽配信サービスにおける「携帯とPCの垣根」などについて、来日した米Appleのクリス・ベル氏(ワールドワイド・プロダクト&ミュージック マーケティング、ディレクター)に話を聞いた。
ベル氏: ご存じのようにiPodの製品ラインアップが拡大され、iTunes Storeも非常にエキサイティング状態になっています。
iTunes Storeは22カ国を股にかけるグローバルなディストリビューションに成長しており、日本のアーティストも各国のStoreでまたたく間にデビューできるようになりました。日本のiTunes Storeの配信曲数も500万曲を数えるまでとなり、「ライブを見て、すぐにダウンロード」できる状況ができあがっています。
iTunes発とでも言うのでしょうか。レゲエアーティストの九州男のように、フリーシングルやiTunesでの限定配信から火がつき、そこからさらにいろいろな人へ知られるようになるというケースもあります。もちろん、こうした動きはアメリカにもあります。
iPodは高い支持を得ていますし、iTunes StoreもNo.1の配信サービスです。このiPodとiTunes Storeはシームレスに連携しており、素晴らしい体験をユーザーへもたらしてくれます。より多くのひとに体験してほしいと思っています。
――つい先日、DRMフリー・高ビットレートの「iTunes Plus」は価格改定が行われ、従来のDRMアリ/ビットレート128kbpsの楽曲と同一価格(150円ないし200円)になりました。実質的には値下げと言えますが、なぜ値下げしたのでしょう。
ベル氏: iTunes Plusへインディーズ系から参加が増えたため、ダブルプライシングをやめたというのが直接的な理由ですが、それだけではありません。私たちの一番の狙いは多くの音楽ファンに音楽を届けることであり、iTunes Plusの高クオリティなサウンドを多くの人へ知ってもらうこともそこへつながります。単純な値下げという訳ではありません。
――判断はレーベル次第になってしまうと思いますが、iTunes Plusの楽曲は今後も増え続けますか?
ベル氏: iTunes Plusの楽曲は開始以来増え続けていますし、これは質の高い制限のない音楽を配信するという、業界のトレンドに沿ったものだと思います。
――日本と諸外国で、ユーザーがiTunes Storeへ求めるモノは異なるのでしょうか?
ベル氏: iTunes Storeを展開する22カ国で楽曲のレパートリーにこそ差はありますが、Exclusiveなものを求めるという点では国による違いはないように感じます。日本ではiTunes Wi-Fi Music Storeに対する関心が非常に高いように思いますが。
――そのiTunes Wi-Fi Music Storeですが、PC/Macを経由しないでも楽曲が購入できるという点では非常にエポックメーキングなサービスに思えます。どのようなインパクトを市場へ与えたと思いますか?
ベル氏: 開始されてまだ1カ月足らずなので、まだ影響について語るには早いですね。ただ、来日する際に私も空港のWi-Fiスポットで何曲か楽曲を買ってから飛行機に乗り込みました。手軽に音楽が手にはいるのはいいですよね。
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