ヤマハの一体化サラウンドシステムは、とてもユニークな構造を採用している。小口径のスピーカーを多数並べ(最上級モデルではなんと40個)、それを個別にコントロールすることで、ステレオから5.1chまでの音場を再現する。スピーカーが多数並ぶ一体型製品はこれまでにもあったが、最大40個という数も、そのシステムを全ラインアップで採用している点も、ほかに類のない独創的なものだ。
今回試聴テストを行った「YSP-3000」は、シリーズ全5モデルのうち、上から2番目に位置する製品。最上級モデルである「YSP-4000」が薄型であることにこだわり、40個もの4センチスピーカーを並べているのに対して、YSP-3000は数を21個に抑える代わり、フラットディスプレイとの整合性を考えると最大限の大きさであろう、高さ、奥行きともに約150ミリ(それぞれ155ミリ、152ミリ)の大型ボディを採用。2つのウーファーが繰り出す低音を十分な容積でサポートし、バランスに優れた良質サウンドを作り上げる。
YSP-3000の特徴は、スピーカーレイアウトだけに留まらない。なんとマイク集音による、自動音場調整機能が付加されているのだ。マルチチャンネル化が進み、いまでは7.1chですら当たり前になりつつあるホームシアターの世界では、音響調整があまりにも複雑になりすぎて、初心者やライトユーザーにはやたら敷居が高くなる傾向があった。
それを解決する手段として注目されたのがこの自動音場調整機能で、最新機種では10万円を切る普及価格帯のAVアンプにも搭載されるようになった。けれども音質よりも手軽さが優先される一体化サラウンドシステムにまで採用しているのは、メジャーどころではこのヤマハくらい。一体型でないスピーカーセットを含めても数製品しかない現状を考えると、同社の音に対するこだわりが強く感じられる部分だ。
今年2月に発売されたばかりのモデルだけあって、YSP-3000には自動音場調整以外にもいくつかの最新機能が盛り込まれている。なかでも注目は、HDMIによる接続とリンク機能だろう。HDオーディオに非対応であるものの、ドルビーデジタルやDTS、地上/BSデジタル放送に採用されるAAC、ステレオソースを5.1ch化するドルビープロロジック II、DTS Neo:6を搭載。映画などのサラウンドを充分楽しめる内容だ。
また、「ビエラリンク」「レグザリンク」「Woooリンク」などのHDMIリンクにも対応。電源のオン/オフ連動やボリューム調整、入力切替などがテレビ側のリモコンで行えるようになっている。
採用されているサラウンドセッティングも、ヤマハならではのユニークな内容だ。基本セッティングとしては、5.1chサラウンドをフルに楽しめる5ビーム、広い空間で大勢の人とサラウンドを楽しむことができる3ビーム、音楽DVDなどに向いたステレオ+3ビーム、周囲の騒音が気になる環境で人の声を聞き取りやすくするマイビーム、視聴環境を選ぶことなくサラウンドを再現するマイサラウンド、高音質で音楽が楽しめるステレオなど、豊富なバリエーションが用意されている。これらに加えて小音量でもホームシアターが楽しめるナイトリスニングモード、TVCMなどで急に音量が大きくなるのを防ぐTV音量一定モードなどの便利設定も搭載。幅広い活用ができるよう、さまざまなシチュエーションが考慮されている。
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