ぼくの部屋には、50V型プラズマモニターのパイオニア「PDP-5000EX」とソニー「VPL-VW200」プロジェクター+110インチスクリーンという2種類の映像表示装置がある。50インチと110インチを対向する壁面に置き、それぞれ水平視野角2.3H(画面高の2.3倍)が実現できる場所にいすを置き、それを180度くるっと回転させて、コンテンツや時間帯、そのときの気分に応じて50インチと110インチを使い分けている。
そのわが家の環境に、つい最近37V型液晶テレビの日立製作所「UT37-XP770」が加わった。そう、薄さ35ミリ(最薄部)をうたう日立UT(Ultra Thin)シリーズの最新モデルである。
ぼくは以前から“情報の窓”として使う小画面と“感動の窓”たる100インチ級スクリーンの大画面を使い分ける「映像2ウェイ生活」こそ、最もスマートなスタイルではないかと考えてきた。いわゆるお笑いやバラエティなどのテレビの娯楽番組を50インチを超える大画面でみる必要なんてないし、画質のよい映画のHDプログラムをみるには、50型クラスでは物足りなく、100インチ級の大画面スクリーンこそふさわしいと思う。一時、11インチ超小画面・有機ELテレビと110インチ・スクリーンを使い分ける極端な「映像2ウェイ生活」を実践してみたが、別段何の不満も感じなかった。それ以前よりプロジェクター稼働時間が増えたのは事実だが。
しかしそうはいっても、画質のよい50V型中画面自発光モニターでみるHD放送の音楽、美術、旅紀行番組の、キレのよい高精細映像にはあらがいがたい魅力があるのも事実。そんなわけで、完全暗室でみるプロジェクターと、シーリングライトを消し、ディスプレイ背面に白熱灯を仕込んだ、ほの暗い照度環境でみる50V型プラズマという映像生活に落ち着いたわけだが、そういう趣味的な映像機器とは別に、3台目の普段使いのテレビとして、昼間もみられる手頃なサイズでセンスのよい製品はないかと検討して選んだのが、日立UT37-XP770である。ほんとうは32V型がよかったのだが、UTシリーズでフルHD解像度が得られるのは37V型以上。さすがにWXGAでは物足りないと思い、37V型をチョイスした。
UT770シリーズは、Woooステーションと呼ばれるチューナー/コントロールユニットを別体にしたセパレート構造を採ることで、最薄部35ミリの超薄ディスプレイを実現している。香水の瓶からヒントを得たというフレームに微妙なアールがつけられたフレグランス・デザイン、放熱スリットをパネルの上下に集約して完全フラットに仕上げた背面の仕上げなど、コスメティックがじつによくできている。
このシリーズは、すべてのサイズでブラック/ホワイトの2つの仕上げから選べる。ぼくは、直線と長円を組み合わせたシンプルなシルバーのフロアスタンドに載せて使おうと決めていたので、それとの視覚的なマッチングがよいホワイト仕上げを選んだ。パールっぽい落ち着いた質感のホワイトで、わが家の杉材の床にもよく映える。
このシリーズからリムーバブルHDDのiVDR-S用の「iVポケット」のほか、Woooステーションに250GバイトのHDDが内蔵されるようになり、“録ってみるテレビ”として、使い勝手も大きく向上した。無変換記録のTSモードに比べて約2倍の長時間記録が可能な同社独自の「X Code HD」のTSEモードが採用されており、例えばiVポケットに250GバイトのiVDR-Sをさし込み、内蔵HDDとともにTSE モードを使えば、BSデジタルのHD番組が約100時間録画できるのである。
また、UT770シリーズは、「ネットTV」に対応している点も新しい。本機にブロードバンド回線を接続し、リモコンの「ネット」ボタンを押すだけで、ユーザーはすぐさま日立が開設したポータルサイト「Wooo net」にアクセスできる。同サイトから入れる主なサービスコンテンツは、「アクトビラ」や「ビデオ de メール」などがある。
前者には映画や音楽のビデオ・オン・デマンド動画配信サービス「アクトビラ ビデオ・フル」があり、HD映像の配信サービスがすでに始まっている。Wooo netにアクセスし、実際に「アクトビラ ビデオ・フル」の無料HDプログラム、TSUTAYA提供の映画のトレーラーや矢沢永吉のライブなどをみてみたが、HD番組とはいえ、MPEG4.H264固定ビットレートで映像の最高転送レートが7.6Mbps というその画質は、ブロックノイズが目立ち、お世辞にも褒められたものではなかった。せっかくの新提案、動作の安定度とともにぜひもっと画質を磨いてほしいものだと思う。
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