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ソニーPCL、BDソフトの制作能力を倍増した「メディアセンター」公開

» 2008年10月06日 17時51分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 ソニーピーシーエル(以下、ソニーPCL)は10月6日、先月16日にオープンした東京・西五反田の「メディアセンター」を報道関係者に公開した。国内Blu-ray Disc(BD)需要の高まりに対して、BDソフトの制作能力を倍増。BD-JやBD-LiveによるBDソフト制作にも対応する。

photophoto ソニーPCL専務兼事業本部長の毛塚善文氏(左)

 あいさつに立ったソニーPCL専務兼事業本部長の毛塚善文氏によると、次世代DVDの規格争いが終了して以来、国内のBD市場は急拡大しているという。例えばBDレコーダーの国内販売台数は昨年度の40万台に対し、2008年度は4倍の160万台と予測(ソニー推計)。またビデオソフトとしてのBDも、売上げ金額で22億6600万円に成長している。「DVDの139億円とはまだ差はあるが、前年同期比で195.5%と約2倍に成長した」(同氏)。

photophoto 国内ビデオソフト市場の売上げ実績(左)。ソニーPCLは昨年4月にAVC方式によるBDオーサリングサービスを開始した(右)

 新設されたメディアセンターは、BDの制作能力を現在の月20作品から、倍の月40作品に増やすのが目的だ。なかでも需要が高まっているMEPG-4 AVC方式によるBDオーサリングのシステムを旧スタジオの1式から3式へ増やした。「一部DVDとの共用はあるが、制作能力としてはBDだけで年間500作品規模まで対応できる。今後はBDとDVDの作業量も変化していくだろう」。また、従来は営業担当部署とオーサリングスタジオが別々のビルあったが、今回は同じフロアに入居させて作業の効率化を図る目的もある。

photophoto メディアセンターの概要(左)。メディア制作の流れ(右)

家庭と同じ機材で確認

 ビルの2フロアを使用するメディアセンターのうち、スタジオや試聴室は1階の約940平方メートルに集約した。フロア中央にマシンルームを配置し、その周囲にプレビューやオーサリング、ビデオエンコードなどの各担当部署を配置している。マシンルームは各部署の共用としてスペースを効率的に活用するとともに、各部署をつなぐハブの役割を持たせているという。またデザイナーの常駐するメニュー・デザインエリアや、BD-J、BD-Liveを扱う専門エリアも設けて顧客のニーズに対応する。

 8室ある試聴室には、「プレイステーション3」をはじめ、一般家庭と同じ機材が並べられた。例えばテレビの場合、ソニーは液晶テレビしか製造していないため、パナソニックなどのプラズマテレビも用意しているほか、液晶プロジェクターやHDトリニトロンのブラウン管テレビを設置した部屋もある。「われわれの仕事は、顧客とのB to Bだが、顧客はそれを一般に販売するB to C。それだけに、一般家庭と同じ環境で試聴したいというニーズが高い」(同社)。

photophoto プレビュー室は、従来の1室から8室へと増やした。もっとも大きな視聴室には100インチのスクリーンを用意(左)。隣の試聴室には42V型の液晶テレビとプラズマテレビを並べ、テレビの方式による見え方の違いをチェックする(右)
photophoto オーディオ調整室(左)。ブラウン管のマスターモニターなどが並ぶ試聴室も(右)
photophoto 気になるAVCエンコードエリアでは、ソニー製ワークステーション「BAE-VA700」「VAE-VX1000」を使用。VX1000はMEPG-2とAVCの両方をサポートする(左)。フロア中央に設けられたマシンルーム(右)
photophoto 再生互換性をチェックするブースには各社のBDレコーダーやプレーヤーが並ぶ。世代がかわるとチェックする機材も増えるという(左)。オーサリングエリアは一般的なオフィスに近い(右)

 ソニーPCLは、ソニー系ポストプロダクションとして2006年7月にBDオーサリングサービスを開始。主に国内作品を中心に約250タイトルを手がけてきた実績がある。また、系列会社のソニー・ミュージックマニュファクチュアリングとの協力により、ポストプロダクションからオーサリング、BDソフトのパッケージングまで一貫した生産サービスを提供できるのがアドバンテージ。毛塚本部長は、「ワンストップの生産サービスにより、国内では最大規模のBD制作・生産体制を構築していく」と胸を張った。

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