「CEATEC JAPAN 2010」で数年ぶりにBDA(Blu-ray Disc Association)が基調講演を行い、「限りなく発展するBDのこれから」というテーマでパネルディスカッションが行われた。ナビゲーターを務めたデジタル・メディア評論家の麻倉怜士氏は、BDXLの登場やAACS規格の策定といったトピックを取り上げ、その意義について持論を展開した。
麻倉氏はまず、2004年のCEATEC JAPANで行った自身の講演を紹介し、状況の変化を振り返った。当時は地上波を含めてデジタル放送はすべてコピーワンス。それが2008年7月から「ダビング10」が導入されたことで、ようやくプレイリスト編集などが実用的になった。さらにAACSの最終仕様が策定されたことで、BDからHDDへの書き戻しも可能になっている。これを受け、パナソニックのBlu-ray Discレコーダー“DIGA”最新モデルではBD-R/REからHDDへの書き戻しをサポートした。
自身もヘビーなエアチェックユーザーである麻倉氏は、「ようやくここまで来た」と振り返りながら、AACSの仕様は不十分と指摘する。
「HDD書き戻しの意義の1つに、複数ディスク間のコンピレーション作成がある。例えば3年前の松田聖子さんと現在の松田聖子さんの姿を集めたディスクを作ることができれば、それは時空を超えたコンピレーション。単なるアーカイブではなく、すばらしいコレクションになるだろう。しかし、(3年前の番組を録画した)ディスクが使えなくなってしまうのはいかがなものか」(麻倉氏)。
現在の仕様では、書き戻しといっても処理はコピーワンス番組のムーブとなるため、書き戻した後のメディアに“再生不可”のタグが付き、事実上使えなくなってしまう。「ユーザーのために、ムーブではなくコピーすることを認めるべきだ。AACSは、もう1度検討してほしい」(麻倉氏)。
一方、3層もしくは4層の大容量メディア「BDXL」の登場も大きなトピックだ。対応するBDレコーダーを発売したメーカー各社は、「1年分のドラマを1枚に」などと経済性をアピールすることが多いが、麻倉氏の考えは少し違う。
「BDXLの登場で、オリジナル画質のDR(Direct Recording)モードで(従来より)長時間の録画が可能になったことが大事だ。優れた番組との出会いは一期一会。SD画質やAVCRECではなく、オリジナル画質でパッケージ化したい」。また、CEATECの展示会場でTDKが参考展示した16層ディスクにも触れ、「もうBDXLの“次”ができている」と絶賛した。
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