2月17日、「第3回 DEGジャパン・アワード/ブルーレイ大賞」が発表された。作品性ではなく、画質や音質、インタラクティビティーといった“Blu-ray Discならでは”を審査する同アワード。審査委員長を務めるAV評論家・麻倉怜士氏に、白熱した審査の裏側とアワードから透けて見えるBlu-ray Discの現状について解説してもらった。
——「第3回 DEGジャパン・アワード/ブルーレイ大賞」が発表されましたが、そもそもDEGジャパンとは、どのような団体なのでしょう?
「デジタル・エンターテイメント・グループ・ジャパン」(DEGジャパン)は、デジタルを媒体にしたホームエンターテイメントの普及を推進するプロモーショングループです。今回のアワードにくわえ、「総合ブルーレイカタログ」の作成などを行っています。また最近では、「e-move」規格の連絡協議会のような役割も担っていますね。
DEGの母体は、1997年に米国で創設された「DVDグループ」というプロモーショングループです。BDの時代となるとDVDグループは発展的に解消され、デジタルエンターテイメントを包括する団体「DEG」が設立されます。その日本版として作られたのがDEGジャパンです。
ブルーレイ大賞を始めたのも、Blu-ray Discの普及促進が目的です。新しいプラットフォームは、良い作品がたくさん出てこないと広がりません。そのためには、コンテンツ制作者にインセンティブを与えることが重要です。アワードの存在で制作側のモチベーションを上げ、より良い作品の創出を誘導する。これがDEGジャパン・アワードの最終目的です。
アワードは今年で3回目ですが、初回の審査員はAV評論家と「キネマ旬報」といった映画誌の編集長、メーカーの画質・音質専門家で構成されていました。2回目(昨年)にはAV誌「HiVi」の編集長や日本オーディオ協会が、また今年は「日経エンターテイメント」の編集長も審査員に加わりました。幅広いエンターテイメント誌の力も借りて、総合的に選出するスタイルになりました。アワード価値が高まっていますね。
——審査のプロセスを教えてください
第1次審査として、12月から1月にかけて審査員がソフトメーカーから出品されたすべての作品を視聴し、ノミネート作を各部門3作品ずつ選びます。第2次審査では、ソニーPCLを会場にして合同審査会が行われます。審査委員の本田雅一氏や私は、1月に「International CES」に行く都合もあり、年末年始はBDチェック地獄ですね。
よく「大変ですね」と言われますが、実はそうでもありません。例えば「サウンド・オブ・ミュージック」などは、とても好きな作品なので事前に見ていましたし、映画会社自身がオススメする(出品)作品を見ていると、BDがどのような方向に向かっているのかがよく分かります。なにより、自分では買わない分野のソフトがみられるというのは、個人的にもすごく勉強になりますね。
——本田さんは「すごく大変」と言ってましたが……(ぼそ)。ところで、さまざまな映画賞が存在する中、DEGアワードの独自性はどういった点にあるのですか?
ほとんどのグランプリは、コンテンツの中身を審査するものですが、DEGアワードは違います。画質、音質、機能性といったBlu-ray Discが持つ卓越したメリットを、どれだけ生かしてディスク作品を作り上げたかを評価します。例えば画質なら、撮影時の画質がいくら良くてもエンコーディングで劣化してしまってはいけません。また、BDにはロスレス音声という武器もありますから、それをしっかり生かした作品作りができているかが課題です。そしてJavaなどのインタラクティブ機能を使ってユーザーが楽しめるものを提供できているか? クオリティーの高い作品を作るにはお金と時間がかかるものですが、BDパッケージに対してソフトメーカーがどれだけ力を入れたかを問うアワードなのです。
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