136(幅)×210(高さ)×165(奥行き)ミリという小柄なサイズの密閉箱(シールドボックスとも呼ばれる)に、25ミリドームツイーターと110ミリウーファーをインストールしたモデル。サラウンド用として手軽に活用できるよう、背面にフック受けが用意されている。
いやはや、なんと小気味いい、それでいてエネルギー感の高いサウンドだろう。密閉箱、しかも(本格スピーカーとしては)かなりの小型モデルだけあって、低域の量感には限界があるが、そのぶんボーカルやメイン楽器がぐいぐい前面にせり出してくる、聴かせどころを心得たすばらしいサウンドだ。とくに女性ボーカルは、声の力強さが5割増といった風で、歌詞への感情の込め方も普段以上に高まっている。ロックだけでなく、ソウルやオペラなどのジャンルでもかなり活躍してくれそうだ。
一方で、ウーファー口径の小ささから、他モデルに比べると音の重奏感や音色の正確性が多少甘くなる傾向はある。とはいえこれだけタイトでグループ感のよい音楽を奏でてくれるのならば、それはそれで魅力といえる。理想をいえば、できるだけニアフィールドで聴いたほうが好ましいかもしれない。
これをデスク用として使えば、PCオーディオのクォリティは大幅にグレードアップすることは確かだ。サラウンド用として使うのは、少々もったいないクオリティーを持ち合わせている。
音質評価(BS52.2) | |
---|---|
解像度感 | (粗い−−○−−きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−○−−−ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−−−○−フラット) |
音色傾向 | (迫力重視−○−−−質感重視) |
シリーズのなかでももっともオーソドックスなスタイルなのが、このBS53.2だ。170(幅)×285(高さ)×235(奥行き)ミリのバスレフ型ボックスに、25ミリドームツイーターと145ミリウーファーという、トールボーイ型の「FS57.2」やセンタースピーカー「CC51.2」と同じスピーカーユニットを搭載している。
そう、まさにこの音。これが「エラック」サウンドの醍醐味(だいごみ)だ。中域がとてもエネルギッシュで、声に張りとつややかさがあり、演奏にも勢いがある。小型スピーカーながら、音のひずみをかなりの低レベルに押さえ込んでいて、音離れがよく、演奏もかなりリアル。ブックシェルフ型はスピーカーボックスの容量不足を補うため、バスレフポートに低域を頼る製品が多く、どうしてもあいまいな低域表現になってしまいがちだが、BS53.2では(そういった傾向は多少見られるものの)中高域のエネルギー感の高さによってあまり気にならない。末弟とはいえ、さすがエラックの一員だ。
上位モデルに対し、解像度感やニュアンス表現の細やかさでは差が出るものの、音楽の楽しませ方、感動のさせ方は変わりない。ペア5.25万円でこの音、本物の「エラックサウンド」が入手できるのは、まさに奇跡といってもいい。コストパフォーマンスにおいては、これほど高いと思える製品はめったにないと思う。
音質評価(BS53.2) | |
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解像度感 | (粗い−−○−−きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−−○−−ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−−○−−フラット) |
音色傾向 | (迫力重視−○−−−質感重視) |
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