映画館の3D上映を観に行き、その立体造形のみごとさに感激し、Blu-ray 3Dでの発売を心待ちにしていたマーティン・スコセッシ監督の「ヒューゴの不思議な発明」が米国で発売された。
さっそく入手し、わが家のJVC「DLA-X9」をはじめ、さまざまな3D対応プロジェクター&テレビで本作を観てみたが、とりわけその3D画質のよさに魅せられたのが、エプソン「EH-TW8000W」だった。
「ヒューゴの不思議な発明」の舞台は1930年代のパリ。駅構内の時計台に隠れ住む少年が、父親の遺品である機械人形の謎を追ううちに、映画黎明(れいめい)期にいかんなくその才能を発揮したジョルジュ・メリエスの“その後”の人生に出会う物語。映画狂スコセッシの、先達に対する深い敬愛の念が全編にあふれていて、心がじわりと温かくなるすばらしい作品だ。
先に発表された第84回アカデミー賞では、作品賞、監督賞こそ逃したものの、撮影、美術、視覚効果、録音、音響編集の各技術部門の5冠を獲得。確かにその3D映像演出とサウンドデザインのすばらしさは圧倒的で、熱心なAVファンならBlu-ray 3Dで何度も繰り返し観たくなるはずだ。
パリの街をふかんするショットから駅構内の時計台の裏に潜む少年にズーミングするまでをワンカットふうにスピーディに捉えたオープニングの3D演出がとりわけ凄い。ゼンマイ仕掛けの機械が発する小気味よいメカノイズを精密にはり付けた7.1ch 構成のDTS HDマスターオーディオ音声のダイナミックなサラウンドサウンドの魅力も格別だ。ぼくにとって今年前半を代表するメガトン級お宝ディスクの1枚となったのは間違いない。
さて、3D映画をいちばん快適に楽しめるのは、家庭用プロジェクターを使った100インチ超級スクリーンで観るBlu-ray 3Dだというのが、かねてからのぼくの持論。映画館の巨大スクリーンでは、映像の暗さが気になったり、座席によって3D効果が明瞭(めいりょう)でなかったりするし、70〜80V型が画面サイズの限界となるテレビは、パーステクティブが強調される3D映画を観るには絶対小さすぎる。ベゼル(フレーム)の存在がどうしても気になってしまうのである。
最新プロジェクターの中でも、昨年の冬に発売されたエプソン「EH-TW8000W」で観るBlu-ray 3Dは、他の高級プロジェクターに比べても画面が明るく華やかで、観ていてじつにたのしい。3D映画をがんがん観たいというAVファンには絶対のお勧めだ。では、本機の概要について触れておこう。
EH-TW8000Wは、フルHD(1920×1080ピクセル)解像度の0.74型透過型液晶パネルを用いた3LCDプロジェクター。230ワットの高圧水銀ランプが採用され、最大輝度は2400ルーメン。アクティブシャッター式3Dメガネに制御信号を送るエミッターは本体に内蔵され、3Dメガネが1個同梱(どうこん)されている(もちろん追加購入可能)。
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