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「かつてない輝度と色彩」、東芝からレグザ「Z8/J8シリーズ」登場(1/3 ページ)

» 2013年09月25日 12時01分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 東芝は9月25日、薄型テレビ“REGZA”(レグザ)の新製品として、「Z8シリーズ」および「J8シリーズ」を発表した。いずれも液晶パネルはフルHDながら、新開発の広色域直下型LEDバックライトなどで高輝度と広色域を実現。4Kテレビの高精細化とは異なるベクトルで画質を追求したモデルだ。「画素密度を上げる以外の画質向上を図ったフルHDモデル。“Z”の中では間違いなく過去最強」(REGZAの商品企画を担当する東芝、本村裕史氏)。

Z8シリーズ(左)とJ8シリーズ(右)。両モデルの大きな違いは、「タイムシフトマシン」と3D表示機能の有無となる

シリーズ Z8シリーズ J8シリーズ
型番 55Z8 47Z8 42Z8 55J8 47J8 42J8
サイズ 55V型 47V型 42V型 55V型 47V型 42V型
パネル 直下型/広色域LEDバックライト搭載のIPS液晶パネル(フルHD)
映像エンジン REGZA Engine CEVO Duo REGZA Engine CEVO
チューナー 地デジ×9(うちタイムシフトマシン用6)、BS/CS×2 地デジ×3、BS/CS×2
倍速駆動 ダイレクトモーション480 ダイレクトモーション120
録画機能 タイムシフトマシンプラス1 USB外付けHDD対応
3D なし
実売想定価格 26万円前後 21万円前後 16万円前後 22万円前後 17万円前後 12万円前後
発売時期 11月上旬

輝度が約75%アップ

 フルHDパネルは、同サイズなら4Kよりも画素密度が低く、透過率の向上という点では有利になる。Z8/J8シリーズでは、有効画素面積の広さを生かして開口率を向上させたIPSパネルを採用し、新開発の直下型の高輝度LEDバックライトと組み合わせた。これにより、パネル輝度は700nit(1nit=1cd/m2)と従来機「Z7シリーズ」の400nitと比べて約75%向上した。

新バックライトとパネルの概要。「ピュアカラーパネル」と呼ぶ

 使用したLEDは、主にR(赤)方面の色域を拡大した広色域タイプで、ITU-Rが策定したデジタル放送の色域「BT.709」のカバー率は98%となる。本村氏は、「広色域パネルは各社が採用しているが、単なる色域拡大競争に陥ると、人の“記憶色”と乖離(かいり)を始めてしまう。物体は光を反射していることを考慮しないと自然な色にはならない」と指摘。それを防ぐため、色空間処理の際に物体色の限界値(最明色)を考慮した6144項目におよぶ「広色域復元データベース」を設け、より自然でリアルな色彩を再現する「広色域復元」を新たに搭載した。「ハイビジョンの規格上、色表現できる領域が実世界よりも狭く、再現しきれない領域が存在する。広色域復元では、物体の反射光の特性を考慮して色域を復元し、自然かつ鮮やかな色彩を再現する」(本村氏)。

色域設定の「広色域復元」。「オート」にしておけば、x.v.Color信号が入力されたとき以外は自動的に広色域復元が働く。x.v.Color信号の場合は「x.v.Color」モードとなる

 もう1つ、高輝度バックライトを生かした機能が「ハイダイナミックレンジ復元」だ。通常、放送番組の撮影時には白つぶれを防ぐため、高輝度の領域(80〜400%の光量)は100%までに圧縮され、平たんな映像になりがち。しかしZ8/J8シリーズでは、入力信号から圧縮された白側の階調を再現し、高輝度化により広がったダイナミックレンジで表示する。これにより、例えば“空に浮かぶ雲”のように、明るいシーンの白い物体を従来より立体的に表現できるという。

「ハイダイナミックレンジ復元」のデモ。写真では分かりにくいが、オンにするとマシュマロの凹凸がよく分かる

 動画応答性能にも直下型LEDは一役買っている。Z8シリーズでは、倍速駆動パネルにフレーム補完とバックライト・ブリンキング/スキャニングを組み合わせた「Direct Motion 480」を搭載し、動画ボケを抑えた。なお、直下型バックライトを生かしてコントラストを向上させるエリア制御(ローカルディミング)にも対応しているが、エリア分割数などの詳細は公表していない。

 自動画質調整機能の「おまかせドンピシャ高画質」は、名称を「おまかせオートピクチャー」に改めた。ここでも新パネルによって向上した輝度や色域を生かすため、画面サイズに応じてホワイトバランスやバックライト輝度を調整する仕組みを新搭載。例えば白い物体が広い面積を占めるときは自動的に画面輝度を落とすといった処理が追加されている。

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