一方のSLINGBOXも、できることはほぼ同じ。コンポーネント映像出力を備えたBDレコーダーなどを組み合わせ、いったんアナログ映像を介することでデジタル放送に課せられた制約を回避する外付けタイプのデバイスだ。しかし、最近のBlu-ray Discレコーダーはコンポーネント映像出力を持たない製品も多いため、新たに「SLINGBOX 350 HDMI SET」が登場した。
HDMI出力をコンポーネント映像へ変換するコンバーターに関しては、以前から(少々怪しげな製品が多いものの)存在はしており、「SLINGBOX 350」と組み合わせることもできたわけだが、オフィシャルの付属/オプション機器として用意された点は大きな意味がある。なぜなら、相性の問題などで接続ができないという事態を回避できるからだ。
価格は2万7600円と、単体「SLINGBOX 350」の2万1800円(いずれも税別)と比較して5800円の差があるが、専用HDMIコンバーターが付属しているため、コンポーネント映像出力を持たない機器との接続が可能になった。なお、この専用HDMIコンバーターは今後、単体でも販売される予定だ。
対応するレコーダーなどはSLINGBOX公式サイトで発表するとされているが、現状では「シャープ製レコーダーへのHDMI 接続には対応していない」旨が書かれているのみで、特に対応表などは見当たらない。もっとも、SLINGBOXの場合は、そもそも「対応リモコン一覧」に掲載されていないレコーダーなどは使えないため、HDMI出力を装備していないレコーダーが対応リモコン一覧に掲載されていれば、それは専用HDMIコンバーターに対応した製品だと見なしてよいということになるのだろう。
ただし、当然ながら、専用HDMIコンバーターを使えば、従来のコンポーネント映像経由での接続よりも高画質になるというわけではない。ひょっとしたら、そうしたケースもあるかもしれないが、それはレコーダーのコンポーネント映像出力の出来があまりよくないというだけの話だろう。むしろ、「SLINGBOX 350」ではもともとコンポーネント映像はD5(1080p)対応しているのに対して、専用HDMIコンバーターではD3(1080i)までの仕様になっている。
つまり、専用HDMIコンバータはあくまでも、今後増えていくであろう「コンポーネント映像を装備しないレコーダー」への対応措置にすぎない。今は手持ちのレコーダーをSLINGBOXと組み合わせていたとしても、今後そのレコーダーが寿命を迎えたり、あるいは、あまりにも古い世代の製品ゆえの反応速度の鈍さや操作性の悪さに嫌気がさしたら、新しいレコーダーへの買い替えを迫られるに違いない。その際、新たに購入したいレコーダーに「コンポーネント映像出力がない」という事態もありえるが、専用HDMIコンバーターによって回避可能な道筋がつけられたというわけだ。
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