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ドルビージャパンが「Dolby Atmos」を正式発表――対応するBDタイトルは年内に登場(1/2 ページ)

» 2014年08月21日 14時37分 公開
[ITmedia]

 ドルビージャパンは8月21日、都内で「Dolby Atmos」(ドルビーアトモス)の発表会を催し、その技術と優位性を紹介した。会場には、オンキヨー、ヤマハ、D&Mホールディングス、パイオニアという国内AVアンプメーカー4社の対応機器も展示され、デモンストレーションを実施。あいさつに立ったドルビージャパンの大沢幸広社長は、「いよいよこの秋、ドルビーアトモスがご家庭にやってきます。どうぞお楽しみください」と胸を張った。

ドルビージャパンの大沢幸広社長と海外の状況。既に650以上の劇場に導入されているという

 ドルビーアトモスは、2012年に米国のドルビー研究所が提案した劇場用音声フォーマット。既に全世界650を超えるスクリーンがドルビーアトモスに対応しており、採用タイトルもハリウッドを中心に120を超えたという。日本でもイオンシネマ、TOHOシネマズを中心に10劇場が導入済み。さらに日本映画で初めてドルビーアトモスを採用する映画として、2015年のゴールデンウィークに公開予定の「THE NEXT GENERATION パトレイバー」が発表されている。

国内導入事例(左)。Dolby Laboratories, Inc.のBrett Crockett(ブレット・クロケット)氏

 続いて登壇したDolby Laboratories, Inc.アドバンストテクノロジーグループリサーチサウンドテクノロジー担当シニア・ディレクターのBrett Crockett(ブレット・クロケット)氏は技術面の解説を行った。その特徴は、音素材の1つ1つを「オーディオオブジェクト」と捉え、その位置・時間情報をメタデータとして記録していること。ドルビーアトモス専用のレンダラーで処理することで360度どこでも定位させることができる。「64個のスピーカーを設けた3000席の大きな劇場でも、こじんまりとした劇場でも同じような体験を得ることができる」(同氏)。

 家庭用のドルビーアトモスは、従来の5.1ch、7.1chといった音声に、天井に取り付けるシーリングスピーカーを加えて立体的な音響を実現する。シーリングスピーカーは、フロントスピーカーの延長線上に1対、あるいは2対設けるのが一般的だが、規格上は10個まで使用可能だという。

 ただし、天井にスピーカーを設置するのは一般家庭ではハードルが高い。このため同社は「ドルビーイネーブルドスピーカー」の技術を開発。フロントスピーカーやリアスピーカーの上に傾斜したスピーカーを置き、そこから出した音を天井に反射させて天井スピーカーの代わりにする仕組みだ。ただし、単純に反射させるのではなく、同社は長年の聴覚研究を元に周波数特性などを変えているという。「とくに高周波領域は頭や耳、肩の反射で変わる。音の周波数特性を少し変え、反射してくるのにあたかも天井から聞こえてくるような音になる」(同氏)。

天井スピーカーを使う配置(左)。ドルビーイネーブルドスピーカーを使用した配置(右)

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