パナソニックは9月19日、50〜60代をターゲットにした新コンセプト家電シリーズ「Jコンセプト」を発表した。第1弾として、足下の暖かさに着目したエアコン2シリーズ、わずか2キログラムの掃除機「MC-JP500G」を10月下旬から順次発売する。さらにレイアウトを工夫した冷蔵庫も2015年2月に発売する計画だ。
パナソニックがシニア層に注目した理由は明快だ。「白物家電需要は横ばい状態で、長期的には台数ベースでは落ちていくはず。その中で金額を維持する、あるいはプラスアルファを目指すために、どの購買層に着目すればよいか。今後、もっとも大きくなるのはシニア層の需要だ」(パナソニック、アプライアンス社の高見和徳社長)。
同社では、高度成長期を経て変化の激しい社会を生きてきたシニア層は、家電の進化を間近でみてきた“目利き世代”でもあるという。こだわりが強い世代に訴求するため、約2年をかけてライフスタイルの分析やニーズ調査を行った。そして「日本の暮らしに合わせた使いやすさ」と「和のテイストを活かしたこだわりのデザイン」を兼ね備えた「Jコンセプト」を開発した。高見氏は、「シニアの方々が、どのような時代を生き、どのような趣味指向があるのか。その方々にフィットする機能とデザインを持っている」と胸を張った。
新製品には、それぞれにシニア層の意見を反映した特徴がある。まず紙パック式掃除機「MC-JP500G」では、「掃除機が重いと掃除が億劫(おっくう)になる」ことから、重量を従来の約半分にあたる2キロにまで削減した。
ボディーは素材から見直し、上面にはスーツケースなどに用いられるPP-FRP(ポリプロピレン繊維強化樹脂)を家電として初めて採用。繊維状の素材を織り上げ、加熱とプレスを繰り返すことで、美しい織り目はそのままに、つややかな表面と滑らかな曲面で成形される。この独特の柄を「綾織」と名付けた。
内部レイアウトも大胆に変更した。モーターや基板を小型化し、紙パックとモーター、コードリールを縦に並べて省スペース化。モーターはファンケースやブラケット、電磁コイルに軽量なアルミニウムを使い、電磁鉄心も体積を従来型の半分以下にしたという新開発品だ。
ホースやノズルも徹底的に軽量化を図った。ノズル内蔵のモーターは新たにネオジム磁石を使うことでパワーアップと同時に約27%の軽量化を果たした。メインモーターの小型化で吸込仕事率などの数字は従来機よりも下がったものの、パワーノズルの強化などで補えるという。
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