仏Parrot(パロット)が先週発表した「Zik2.0」は、著名デザイナーの手によるシンプルな外観に、実用的な機能と趣味性の高い機能の両方を詰め込んだユニークな製品だ。パロットで日本・環太平洋地域を担当するクリス・ロバーツ専務に詳しい話を聞いた。
製品名から分かる通り、「Zik2.0」には前モデルとなる「Zik」が存在する。Zikが発売されたのは2012年11月で、フランス人プロダクトデザイナーのフィリップ・スタルク氏が手がけたシンプルな外観と「全部入りを目指した」(ロバーツ氏)という多機能ぶりで注目を集めた。フィリップ・スタルク氏といえば、マイクロソフト製のマウス(一部)といったプロダクトから、アサヒビール本社の「スーパードライホール」(墨田区吾妻橋)といった建築物まで幅広く手がける著名デザイナー。そして「Zik2.0」でもスタルク氏がデザインを担当している。
先代Zikと比べると、全体的に角がとれ、丸みを帯びた印象。なにより薄く軽くなっているように見える。「実際に本体は17%の軽量化を果たし、270グラムになっています。一方でヘッドバンドのパッドを厚くし、横幅も拡大。イヤーカップは縦に少し延びて耳がすっきりと収まるようになりました。やはりパッドの厚みも増すなど、装着性を大幅に向上させています。快適さは“倍増”しましたね」と同氏。
アルミ製のフレームと合皮のハウジングはどちらも素材感を活かしたシックな色合いで、表面の操作ボタンも1つだけとごくシンプルだ。その代わり、右側のハウジングにはタッチパネルを備え、指を左右に動かすと再生/一時停止、上下ならボリューム操作といった操作が行える。外観はあくまで革に覆われたハウジングにしか見えないところが奥ゆかしい。
BluetoothのコーデックはAACをサポート(apt-Xは非対応)。搭載ユニットは先代と同じ40ミリ径で、ネオジムマグネットを採用している。またバッテリーは従来機の800mAhから830mAhと容量をアップしつつ、薄く軽くなったという。また3.5ミリステレオミニ端子を備えており、航空機内やバッテリーが切れたときには付属のケーブルを使って有線接続が可能になっている。
「私たちが注力したのはNC機能の進化です。新たに特許も取得しました」とロバーツ氏。先代Zikはアナログノイズキャンセリングだったが、今回はデジタルのアダプティブ(適応型)・ノイズキャンセリング機能に進化したという。それも192kHz/24bitのAD変換(アナログーデジタル変換)後にDSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)で処理する凝ったもの。さらに独自技術を加えて使い勝手を向上させている。
「Zik2.0はマイクロフォンを8つ搭載しており、うち6つをノイズキャンセリングに使用します。従来のNC機能はヘッドフォンを付けると外部の音はまったく聞こえなくなりますが、Zik2.0では、外部の音も聞けるようになっています。例えば路上では、信号の音や車やバスの走行音も聞こえて安全。しかも、使用する環境に合わせてレベルを変えることができます」。
それが「ストリートモード」という新しいモードだ。一般的なノイズキャンセリング機能では、外部の音を拾って逆位相の音を作り出し、互いに打ち消し合うことで騒音を低減する。Zik2.0では、外部の音を低減しつつも、マイクで拾った外部の音を音楽と一緒にヘッドフォンの内蔵ユニットから出すことで、安全に音楽を楽しむことができるという。
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