ソニーは1月15日、ハイレゾ対応ウォークマン「NW-ZX2」を国内でも発表した。「2015 International CES」で披露された新しいフラグシップモデル。発売日は2月14日で、価格はオープン。店頭では12万円前後になる見込みだ。「NW-ZX2」の登場により、従来機の「Fシリーズ」はディスコンとなるが、「NW-ZX1」は継続販売される。
「NW-ZX2」は、Android 4.2を採用したポータブルオーディオプレイヤー。4.0型(854×480ピクセル)の液晶ディスプレイでタッチ操作が行えるほか、側面に大きめの操作ボタンを備えた。背面は「NW-ZX1」同様のラバーグリップ仕様だ。重量は235グラムと約100グラムのアップになっている。
底面には大型のヘッドフォンジャックやWMポート、そして新たにmicroSDカードスロットを搭載。内蔵メモリは128Gバイト(ユーザー領域は約113Gバイト)だが、microSDカードを使えば最大256Gバイトまで拡張できる(128Gバイト追加時)。もちろん、ソニーお得意のフルデジタルアンプ「S-Master HX」や、圧縮音源も高音域を補完してハイレゾ相当にアップグレードする「DSEE HX」なども搭載する。
ハイレゾ音源は、最大192kHz/24bitまでのPCM(WAV/AIFF/FLAC/ALAC)をサポート。またDSDのリニアPCM変換再生も可能で、新たに5.6MHzまで対応した。同社によると「PCM変換と言わなければネイティブ再生と何が違うのか分からないレベルになっている」という。
また、新たに44.1KHz系の専用クロック(水晶発振器)を搭載し、従来からの48kHz系と音源によって切り替える仕組みにした。例えば96kHzや192kHzのPCM音源は48kHz系クロックで、CDやDSD(44.1kHz、88.2kHz、176.4kHz)は44.1kHz系クロックを利用することで、いずれの信号にも完全に同期する。「ベールの取れたような透明感のある音になった」(同社)。
さらにDSD再生時には、音量レベルをPCMにあわせて調整できるゲイン設定や、好みの音にできるデジタルフィルターが使用できるようになった。デジタルフィルターには「スローロールオフ」「シャープロールオフ」の2種類があり、このうちスローロールオフは「DSD特有の柔らかさ、温かみのある音で、ボーカルの息づかいや弦楽器の繊細な表現も楽しめる」というもの。一方のシャープロールオフは、「明瞭(めいりょう)でアタック感、パワー感のあるエネルギッシュな音。音楽ジャンルも選ばない」としている。
バッテリー容量は倍増。「NW-ZX1」の約2倍となる1860mAhで、192kHz/24bitのハイレゾ音源再生時で約33時間、MP3再生なら約60時間というスタミナを実現した。
なお、DSDのネイティブ再生のほか、同社製ヘッドフォンアンプで採用しているバランス出力の搭載は見送られているが、この点について同社では「S-Master HXなどの組み合わせで、未だ最適解がない。専用のICを搭載すれば対応は可能だが、ロングライフバッテリーなどウォークマンシリーズの特徴との兼ね合いで見送った。今後の課題としている」(同社)。
通信手段としては、Wi-FiとBluetooth/NFCをサポート。中でもBluetoothでは、独自開発の「LDAC」(エルダック)という高音質コーデックが新しい。
LDACは、Bluetooth 3.0の伝送速度(約1Mbps)をぎりぎり上限まで使って情報量を増やすという音質最優先のコーデック。オーディオデータはいったん96kHz/24bitにして圧縮、無線伝送する形だ。「ロッシー圧縮なので通信時に情報の欠損はある。また通信状態によって330kbps、660kbps、990kbpsの3段階で伝送速度も切り替える仕組みになっている」(同社)。このため、ソニーではあえて“ハイレゾ対応”とはうたわないが、一方で「CDクオリティーより上。Bluetoothでも従来より高音質で音楽が楽しめる」と話している。なお今回は発表されていないが、「2015 International CES」の会場ではLDACに対応したBluetoothスピーカーなども多数披露された。
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