シャープは4月5日、“透明なNFCアンテナ”を搭載したディスプレイを開発したと発表した。画面にスマートフォンやICカードをかざして認証や決済が可能で、外付けNFCリーダーは必要なくなる。2019年をめどに量産出荷を開始する計画で、自動販売機やPOSターミナルなど幅広い機器への採用を見込む。
タッチパネルなどに使われる「メタルメッシュ」技術を応用、進化させた。ディスプレイの表面に、目に見えないほど細いアンテナ線を張り巡らせたアンテナ層を設けながら、アンテナ層の光透過率は80%以上を確保したという。スマホなど小型ディスプレイから最大45インチ(現時点)の大型ディスプレイまで対応できる。
シャープの伊藤康尚氏(ディスプレイデバイスカンパニー開発本部本部長)は、「ディスプレイがNFCリーダーの機能を持つことで、表示を確認しながら決済が行える。ITになじみの薄い方々にも分かりやすいユーザーインタフェースができる。またコンビニなどの小売店はレジ周りの“一等地”にNFCリーダーを置く必要がなくなり、スペースを有効活用できる」と話す。既にNFC決済が普及している小売業界の他、医療や教育など幅広い市場に展開する考え。
この発展形として、画面上で複数の通信を同時に行える「ポジションフリー」技術も開発した。「例えばショッピングセンターなどで多くの人が同時に店舗情報を受け取れるデジタルサイネージ、あるいはNFCアンテナ搭載ディスプレイをゲーム盤とし、NFCチップを内蔵したカードやフィギュアで遊ぶアミューズメント用途など、NFCの新しい使い方を提案する」(伊藤氏)
画面内のアンテナ線を高速にスイッチングし、タッチした場所を認識する仕組み。「画面全体で感度を確保する電極のレイアウト技術、位置検出などのアルゴリズムといった要素技術を新たに開発した」という。対応製品は、20年をめどに量産出荷を始める予定。
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