曲面テレビと4Kの展示が目立った今年のIFA――目玉不足の印象も:IFA 2014(3/3 ページ)
世界各国の家電メーカーが集結するIFA。ことテレビ関連では目玉となる展示が少ない印象だ。中国、韓国、そして欧州メーカーの動向も合わせて紹介しよう。
もう1つの潮流、Android TVに注目
先ほど手詰まり感というキーワードを使ったが、曲面パネルそのものはすでに優位性はなく、今回のIFAを見るだけでも中国メーカー勢のほとんどはキャッチアップして関連製品の展示を行っており、むしろ画質や付加価値の部分で差別化するしかないという印象だ。パネル供給メーカーであるという点と、webOSで独自の道を歩み始めたLGに比べ、このあたりがサムスンでは現状で若干厳しいという気がする。
このように「4K(UHD)」「曲面パネル」「OLED」というキーワードにはそれほど特別な印象がなくなりつつあるが、今回のIFAで面白い兆候として密かに盛り上がりつつあるのが「Android TV」だ。Android TVはGoogle TVの後継として2014年6月のGoogle I/Oで発表されたばかりだが、すでに中国メーカーを中心に搭載テレビ製品が登場し、北米など一部市場での出荷が開始されている。欧州での出荷スケジュールは早くて今年末から来年以降とされているが、来年のIFAは、今回よりもAndroid TVやスマートテレビ関連の話題が増えるかもしれない。
欧州勢で面白かったのがオランダのPhilips(フィリップス)。今回「Powered by Android」を冠した曲面4Kテレビの展示が行われていた。中国メーカーのブースでスマートテレビ関連の質問をすると「実はこれがAndroid TVだ」という感じで紹介してくる程度で、別にAndroid TV搭載を前面に押し出しているわけではないのだが、同社の場合はAndroidのマスコットキャラである「Droid君」がブース周辺を徘徊して積極的にアピールするなど、Android TV採用が目玉となっていることが分かる。2013年は年初に船井電機への事業売却が報じられた後に、年末になって急遽キャンセルを表明するなど、迷走の続く印象のあった2013年のフィリップスの家電事業部だが、再び原点に立ち返って製品開発に注力し、その1つとして取り上げたのがAndroid TVということなのかもしれない。
なお、Android TVに関してはGoogle TVの時代から搭載テレビの開発とGoogleとのパートナーシップを持つソニーが、同社製品ラインへのAndroid TV全面採用を表明しており、この製品に近いものが来年2015年のCESで披露されるといわれている。webOS TVの第2世代製品を出してくるLGとあわせ、来年はスマートテレビ戦略に再び注目が集まる可能性がある。
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