家中の音源を活用――ヤマハ独自のネットワークオーディオ技術「MusicCast」とは?
ヤマハが独自のネットワークオーディオ機能「MusicCast」(ミュージックキャスト)に対応する新製品4機種を発表した。多彩なタイプの機器をそろえ、さまざまな音楽をシェアできる新しいネットワークオーディオとして訴求する構えだ。
ヤマハは7月28日、独自のネットワークオーディオ機能「MusicCast」に対応する新製品4機種を発表した。YSPシリーズの新製品「YSP-2700」をはじめ、小型ワイヤレススピーカー「WX-010」、ネットワークCDレシーバー「CRX-N470」、そしてMusicCastを手軽に始めることができるサウンドバーと小型スピーカーのパッケージ製品「MUSICCAST-P306」をラインアップ。多彩なタイプの機器をそろえ、さまざまな音楽をシェアできる新しいネットワークオーディオとして訴求する。
MusicCastは、同社製品に1年ほど前から採用されているもので、一言で説明すると、“ヤマハ製品を結ぶワイヤレスネットワークオーディオ”となる。MusicCast対応をうたう製品は、すべてWi-FiとBluetoothが統合された独自のネットワークモジュールが搭載され、「オーディオアクセスポイントとなるネットワーク機能が備わっている」(同社)。これは既に販売されているAVアンプなどの製品も同様だ。さらに現在のネットワークモジュールは、Bluetoothの受信に加えて送信も可能になっており、音を出したくないときにはBluetoothヘッドフォンと連携するといった使い方も可能だ。最近、ヤマハ製品の多くがこうした機能を標準で備えている背景にはMusicCastの存在があった。
では、MusicCastでは何ができるのか。
外部入力の音源もシェアできる柔軟性
MusicCastの目的は、対応機器間で音楽コンテンツをシェアすること。家の中に複数のMusicCast対応機器があれば、スマートフォンやPC、NASなどに保存されている音楽ファイルをネットワーク経由で個別に再生したり、あるいは同じ楽曲を同期(リンク)して再生したり、といったことが可能になる。
この「リンクモード」では、「マスター」となる機器と「クライアント」となる機器(複数でも可)を決めるとネットワーク経由で各機器が連携し、複数の部屋に同じ音楽が流れる。このように複数のオーディオ機器に同じ楽曲を同時再生する機能は「マルチルーム」と呼ばれ、他社の製品でも珍しくない機能だが、MusicCastの場合、ある対応機器固有の音源や外部入力からの音声信号もシェアできるという点がユニーク。「マスターとなる機器の入力端子に依存するが、HDMIやアナログ、光デジタルなど入力端子につないだソース機器の音もシェアすることができる」(同社)としている。
例えばヤマハ製のAVアンプにはAM/FMチューナーが内蔵されており、オーディオコンポならCDプレーヤー機能を持っている。さらに、外部入力端子につないだアナログターンテーブルで再生しているレコードの楽曲もネットワーク経由で聴くことができるわけだ。
ヤマハでは、活用例の1つとして、同社製デジタルピアノ「クラビノーバ」の音声出力をMusicCast対応コンポにつなぎ、小型ワイヤレススピーカー「WX-010」で聴くというデモンストレーションを行った。これは、「2階で子どもがピアノの練習をしているとき、1階のキッチンでお母さんが家事をしながら聴く」というシチュエーションデモ。事例としてはニッチかもしれないが、MusicCastがさまざまな使い方ができるインフラになり得ることが分かる。
操作はすべて、スマートフォンなどに導入した専用アプリ「MusicCast CONTROLLER」(iOS/Android)で行う。このアプリでは、最大10台までの対応機器を手元で操作することが可能。リンクモードのマスター/クライアント設定をはじめ、全機器の音量を同時に調節する、あるいは個別に調節するといったこともできる。
部屋に合ったラインアップがある
今回、MusicCast対応機器のラインアップに加わったのは、フロントのみで“リアルサラウンド”を体験できるデジタルサウンドプロジェクターの「YSP-2700」、現行「WX-030」の小型版といえるワイヤレススピーカー「WX-010」、ハイレゾ再生に対応したCD一体型コンポの「CRX-N470」、そしてすぐにMusicCastを利用できるセット商品「MUSICCAST-P306」の4機種。P306は、光デジタル入力に対応した専用サウンドバーと上記のワイヤレススピーカー「WX-010」をセットにしたものだ。
新製品のリリースにより、MusicCast対応製品は全24機種(2016年7月現在)となる。もともと“ヤマハ製品をつなぐ”ネットワーク機能のため、他社から対応製品が出てくることはないが、リビングに置けるAVアンプから書斎や個室に合ったミニコンポ、寝室にぴったりのインテリアスピーカーなど、幅広いオーディオ製品を手がけている点はヤマハの強み。家の中のさまざまな場所にMusicCast対応端末を置くことができる。さらに外部入力の音源もシェアできるといった機能的な付加価値も加え、日本市場に新しいネットワークオーディオを提案していく。
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