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» 2007年06月29日 12時11分 公開

神尾寿の時事日想: :日本発の“携帯でカーナビ”に、北米からも熱い視線

米国サンディエゴで行われた携帯電話関連イベントで、「EZ助手席ナビ」開発チームが賞を受けた。GPS携帯を使った簡易・安価なカーナビは、日本だけでなく米国でも注目を集めつつある。

[神尾寿,Business Media 誠]

 先週1週間、取材で米国西海岸・サンディエゴを訪れた。取材の目的は、大手携帯電話サプライヤーである米QUALCOMM(クアルコム)の最新技術デモンストレーションと、同社が主催する「BREW 2007 Developers Conference」の視察だ(6月22日の記事参照)。また、北米で始まったモバイル向け放送「MediaFLO」の商用サービスを試す目的もあった(2006年3月の記事参照)。最新技術デモンストレーションとBREW 2007 Developers Conferenceの詳細は、兄弟サイトであるITmedia +D Mobileに掲載されている一連のレポート記事に譲る。

 今回のQUALCOMM取材は、見るもの・得るものが非常に多かったが、その中でも印象深かったのがBREW 2007 Developers Conferenceで垣間見られた「GPS携帯電話カーナビゲーション」に対する期待感だ。

編注:BREWは、クアルコムが開発している携帯電話向けのアプリケーション実行環境の名称。OSやハードウェアの違いを吸収する携帯電話向けの共通プラットフォームとして利用されている。日本では、KDDIのCDMA 1X WIN端末はほぼ全機種がBREWを採用している。BREWについては別記事に詳しい。

日本のナビタイムが5回目のAward受賞

ナビタイムジャパン開発本部海外開発部リーダーの関 将一氏

 まず、QUALCOMMが毎年行う「BREW Developer Award」では、日本のナビタイムジャパンとKDDIが協業する「EZ助手席ナビ」が部門賞を獲得した。BREW Developer Awardとは、商用のBREWアプリケーションを開発するベンダーや開発者の中から、優秀なアプリケーションを開発した者に贈られる賞である。ナビタイムジャパンがBREW Developer Awardを受賞したのは今回で5回目。2002年以降連続して受賞しており、これは世界初の快挙だという。

 EZ助手席ナビが獲得したのは、新たに登場したサービスの中から選ばれる「BREW Award Best Up and Coming Application」という部門賞。今回の受賞では、EZ助手席ナビの高精度なナビゲーションと高い表現能力、検索機能の豊富さが評価されており、自分の車の燃費管理やCO2排出量の計算が可能な「ecoマネージャー」の搭載など付加価値機能の充実なども今回の受賞のポイントになった。日本のGPS携帯電話向けカーナビゲーションサービスが、北米で注目・評価されたのは興味深い。

 なお、ナビタイムジャパンはロケーションビジネス全般から選出される「Best Location-Based Service Application」部門でも最終選考まで残ったが、惜しくも2部門制覇は逃した。

BREW Developer Award部門賞の表彰台に、EZ助手席ナビ開発チームも特製シャツ着用でずらり(左)。壇上で扇を広げて「Arigato!」。"サムライ"GPS携帯ナビ、ナビタイムはアメリカでも注目されている(右)

PNDの老舗GARMINも、ケータイナビを出展

 一方、EZ助手席ナビ以外では、北米の大手PND※メーカーであるGARMINが、GPS携帯電話向けサービスを出展していた。GARMINはオランダのTomTomと並ぶPNDメーカーであり、世界各国に製品を展開するこの分野の老舗だ。

※PND……パーソナル・ナビゲーション・デバイスの略で、小型・軽量・安価なポータブルカーナビのこと。日本では三洋電機「ミニゴリラ」ソニー「nav-u」といった製品がある。

 GARMINのGPS携帯カーナビは、PND版のGARMINとほぼ同じ機能とUIを実現している。PNDはもともと液晶サイズが小さく、その限られた画面の中で分かりやすいナビゲーションができるように工夫されているので、携帯電話版も窮屈な印象を受けない。さらにGPS携帯電話ならではの機能として、通信経由でリアルタイム渋滞情報や天気情報がダウンロードできるようになっていた。

GPS携帯電話向けの「GARMIN」。PND版のUIを継承しつつ、リアルタイムな渋滞情報や天候情報をダウンロードできる。またサーバー連携することで、最新の道路地図や施設情報が使えるのも、携帯電話版ならではのメリットだ

 今回のBREW 2007 Developers Conferenceは、QUALCOMM社のソフトウェアプラットフォームであるBREWを採用するベンダー向けのイベントであるため、そこで見られたのはBREW版のGPS携帯カーナビに限られた。しかし、欧米市場全体を見渡しても、SymbianOSやWindows Mobile、Palm Treoなど他の携帯電話プラットフォーム向けのGPS携帯カーナビサービスが続々と登場しており、PND市場とともに急成長し始めてきた。NokiaやPalmなど携帯電話メーカーの中でも投資優先度が高くなってきている。

 GPS携帯電話向けの歩行者ナビゲーションやカーナビゲーション分野は、日本のデバイスメーカーやソフトウェアベンダーの存在感が強い分野でもある。例えば前出のナビタイム・ジャパンは、公式に海外進出を表明し、欧米でこの分野の主力端末となるスマートフォン向けサービスの拡大に力を入れ始めている。今後が注目の分野と言えるだろう。

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