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» 2007年09月06日 01時51分 公開

保田隆明の時事日想: :ユニクロ、どこへ行く?

海外事業とM&Aに力を入れ、既存事業のうち収益性の低いものに関しては撤退の可能性もあるという方針を打ち出したユニクロ。しかし飽和する国内市場でもまだまだユニクロがやれることはあるはずだ。

[保田隆明,Business Media 誠]

著者プロフィール:保田隆明

やわらか系エコノミスト。外資系投資銀行2社で企業のM&A、企業財務戦略アドバイザリーを経たのち、起業し日本で3番目のSNSサイト「トモモト」を運営(現在は閉鎖)。その後ベンチャーキャピタル業を経て、現在はワクワク経済研究所代表として、日本のビジネスパーソンのビジネスリテラシー向上を目指し、経済、金融について柔らかく解説している。主な著書は「M&A時代 企業価値のホントの考え方」「投資事業組合とは何か」「なぜ株式投資はもうからないのか」「株式市場とM&A」「投資銀行青春白書」など。日本テレビやラジオNikkeiではビジネストレンドの番組を担当。ITmedia Anchordeskでは、IT&ネット分野の金融・経済コラムを連載中。公式サイト:http://wkwk.tv。ブログ:http://wkwk.tv/chou


 9月4日、ユニクロが事業戦略説明会を開いた。それによると海外事業を加速させると同時に、既存事業のうち収益性の低いものに関しては撤退の可能性もあるという、選択と集中の路線を打ち出してきた(PDF)。かつては高収益性を売りにしていた同社なので、この取捨選択の姿勢は歓迎されるものだと思う。

バーニーズ買収は売名行為?

 不調と言われるユニクロではあるが、売上高は伸びており(M&A効果を含むが)、利益率も他のアパレル系企業に比べると低くはない。ただ、今年の8月期決算は既存のユニクロショップの売上が減少しており、利益は減少する見込みだ。そこで、新規分野にどう打って出るかが注目されている。証券会社の店頭のようなTシャツの専門店の開設や、バーニーズの買収を試みたことはそういう背景である(7月4日の記事参照)

 バーニーズの買収に関しては、失ったものは何もなく、むしろ知名度向上に役立ったということだ。そう聞くと、バーニーズがドバイの政府系投資ファンドと買収合意をした後にわざわざ名乗りを上げたのは、売名行為だったのかとうがった見方もしてしまう。

 確かにM&Aの世界では「あの会社は買収意欲とお金を持っている」と分かると、次々と案件が持ち込まれるので、今後のM&Aへの布石を打つという意味ではよかったのかもしれない。しかし、買収へ名乗りを上げた後に株価が下落し、買収断念の発表後に株価が上昇したあたり、同社と市場との考えに隔たりがあるのは間違いない。それをどう埋めていくのかが今後重要となるが、今回の事業戦略説明では、その点はあまり触れられていなかった。

海外とM&Aに頼るリスクは大きい

 国内のアパレル市場は横ばいなので、国内ではなく、海外やM&Aにチャンスを求める同社の戦略は理解できる。しかし同社の最近の取り組みを見ていると、海外とM&Aにしか活路がないかのような印象を受ける。確かに両方とも重要な戦略ではあるが、リスクもまた大きい。同社は過去にイギリスで失敗した経緯があり、また世の中のM&A案件の半分以上は買収後の経営がうまく行かないということもある。従って、実は皆が一番知りたいのは“国内のユニクロ事業をどうするか”なのではないだろうか。

 米国ではネットショッピングで最も売れる商品がパソコンからアパレルに変わったが、頭打ちの国内市場でもまだネットショッピングなど、売り方や見せ方を変えることで消費者をつかむことは可能なはずだ(8月23日の記事参照)。最近では百貨店やスーパーのネット販売が大きく伸びている。ユニクロはネット販売で既に成功しているが、今後百貨店などの追撃を受けることを考えると、安穏とはしていられない。

ユニクロのノウハウ活用こそが見たい

 国内の不振事業の立て直しには、ユニクロのノウハウ、人材、インフラを活用するという。それこそ、まさに見たいものである。国内には収益性向上に四苦八苦しているアパレルメーカーは他にもたくさん存在することを鑑みるに、ユニクロのノウハウが活用できる可能性が見えれば、飽和する国内市場でもまだまだユニクロがやれることが出てくる。

 なお同社は、細身のスキニージーンズを400万本売り上げたが、次はバギースタイルのジーンズだとのこと。次々とスタイルが変わるアパレル業界を見るにつけ、一消費者としては自分が男性でよかったと安堵するばかりである。

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