人前でアガらずにしゃべるためのコツ

» 2007年11月26日 17時57分 公開
[中野恵美子,Business Media 誠]

 プレゼンテーションやスピーチなど、人前で話をする――何回経験しても、毎回アガるという人は少なくない。こうした緊張を少しでもやわらげ、落ち着ける簡単な方法はないだろうか?

 人前でアガらないための手法は、昔からいろいろと考案されてきた。「手のひらに人という字を書いて飲み込む」といった迷信系もあれば、「アガるものと腹をくくれば、意外にアガらない」という開き直り型、「入念に準備する」「成功した自分のイメージを思い描く」といったポジティブ型もある。

 ポジティブ型アガり克服法は、強度の緊張を強いられるスポーツ選手も導入している方法なので、効果が高そうだ。しかし、人前に立つことを考えただけで、目の前がグルグルしてくるような極端なアガり症の人には、あまり効果がない。また、あくまで事前の準備法だから、本番中何かの拍子にアガってしまったら、その状態から復帰するための効力も期待できなさそうだ。

相手を9、自分を1くらいの割合で視野に入れる

 アガった状態をできるだけ簡単に解消するには、どうしたら良いだろうか? カーッとのぼせ、平常心を失ってしまうのが、「アガる」ということの本質だから、「上がったものを下げてやる」というのがカギ。そのための最も手っ取り早いテクニックは、「相手を9、自分を1くらいの割合で視野に入れる」という方法だ。

 アガリ慣れている(?)人なら分かるだろうが、カーッとしているときは、視野が極端に狭くなる。聴衆をまんべんなく見ているつもりでも、正面しか見えていなかったり、ひどいときには前を向いているものの、結局何も見えていなかったり、という事態さえ発生する。当然、自分の物理的立ち位置も見失っているから、変なところでけつまづいたりもする。こういった時は、血ばかりでなく意識もまた、頭のてっぺん付近まで上がっているのだ。

目の位置よりも上方向に視野を広げないで

 このような状態から回復し「気を静める」には、どこでもいいので「自分の身体」を、少し視野に入れると良い。見える部分は目より下にあるから、身体の一部を視野に入れることで意識も下がり、比較的簡単にクールダウンできる。狭くなってしまった視野を、逆に広げてやるというわけだ。とは言え、間違っても前髪など、目の位置よりも上方向に視野を広げないように……。

相手を9、自分を1くらいの割合で視野に入れる

 「アガった時に、身体を見るというテクニックを思い出せるのか」という不安も残る。しかし、自分の身体の一部が視界に入るポーズには、背筋がしゃきっとして首筋が伸び、堂々と見えるという効果もある。お試しいただきたい。

アガったら姿勢を正そう!

「アガったな!」と思ったら、自分の身体の一部が視野に入るように意識し、できるだけその状態をキープして話す。チラッと見るだけでは、アガった状態が解消されることは難しい(アガりの度合いにもよる)。

「話をする相手9、自分1の割合」というのは、アガりの原因である、その場の状況や、相手のことにとらわれている自分の意識を、ヨソに拡散させる意味もある。

頭のてっぺんに操り人形のようなヒモが付いていて、グッと引っ張られるイメージを持とう。そしてアゴをやや引き気味にすると、背筋が伸びる。「首をしゃんとして背筋を伸ばすイメージ」→「結果的にアゴが引き気味になる」という感じ。


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