連載
» 2008年03月31日 08時00分 公開

スターバックスコーヒージャパン「be juicy!」――思い付きではなく、お客様を想う 新連載・小西賢明の「お客様を想え。」(3/3 ページ)

[小西賢明,GLOBIS.JP]
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be juicy! を商品設計し直してみると?

 例えば、be juicy!を以下のように設計しなおすというのはどうか。

 ターゲットはスタバファンの中核となる「若い男女」。「美味しく健康で、自分をしっかり大切にするライフスタイル」コンセプトを価値に掲げ。「コーヒー」と併せて飲める「適量」(少量)で、「野菜も含む」商品として。そんな、「欠かせない補完商品」としてのbe juicy!を目指す。

 この時売り手側の視点としては、ジュース単体での売上げを狙うのではなく、「食事」利用の際の客単価向上を目指す。「コーヒーかジュースか」ではなく、なるべく多くのお客様に、「コーヒーとジュースを」を目指していく。

 別にこれが「正解」などというつもりは、さらさらない。しかし、より精度高い筋の通った流れが作れるのではないか。ターゲットを定め、価値を定め、打ち手を定める。より精度が高い流れが、より成功確率の高い戦略であることを考えると、今のbe juicy!はもっと精度の高い戦略が作れるのではないかと思えてならないのである。

思い付きではなく、想いを巡らして、お客様を想う

 私はスタバの関係者ではないので、誠に申し訳ないが、コトの真意は分からない。実際には、いろいろな制約の中で施策が練られるため、理屈どおりにはいかないことのほうが多いだろうし、表出していない狙いがあるのかもしれない。それは正直、分からない。

 ただ、大事なことが一点。マーケティングに興味を持つ者ならば、日々、様々な商品やサービスに触れるたびに、(ここでbe juicyで思索をめぐらせたように)そのマーケの流れにいつも想いを巡らせてみてほしいのだ。

 この商品(サービス)が狙うお客様は、誰か。どんな価値を提供するのか。打ち手はそれを、具現化しているのか。そしてそれらは、「環境分析」→「セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング」→「マーケティング・ミックス(4P)」という、断片的でも思い付きでもない1つの流れに収れんしていっているのか。是非ここに、想いを巡らせてほしい。

 中でもとりわけ、「お客様は誰か」「お客様は何を望んでいるのか」「お客様はそれを手に取るか」「お客様はどう利用されるのか」等々、徹底的に「お客様」に想いを馳せてみてほしい。そうやって、いろいろに想いを巡らせつつ、最終的に「マーケティングの流れ」に帰着させるべくその商品・サービスを味わいつくす。野球選手が、素振りで筋肉を磨くように。外科医が、自身が手術する姿に想いを巡らし手を動かしてみるように。レーサーが、走る姿に想いを巡らせイメージトレーニングをするように。日常のあちこちにある素敵な面白い商品に想いを巡らせつつ、最後には1つの流れに帰着するまで、自身の考えを詰めてみる。これが、マーケティングの腕を鍛えていく。

 これから何度かお届けする本連載。バットを振れば振った分だけ必要な筋肉を作ってくれるように、マーケティング、すなわち「売り込みにいかなくても、お客様がご購入しに来てくださる状況」を作るために必要な筋肉を、身近な商品・サービスを例に一緒に鍛えていかれればと思っています。そして、そんな素振りを楽しんでいただける読者の皆さんと記事を元に交流し、マーケティングやビジネスを、手応えのあるものにしていかれれば幸いです。

小西賢明(Kenmei Konishi)

東京大学経済学部卒業。マッキンゼー・アンド・カンパニー、アクセンチュア戦略グループなどの戦略系コンサルティングファームにおいて、様々な業界企業に対しての多岐に渡る経営課題の解決に従事。2003年より独立。ワイズ・ストラテジック・パートナーズ代表となる。現在はマーケティング分野・新規事業分野を中心に、プロジェクト支援や企業アドバイザーなどのコンサルティング業務を展開。と同時に、ビジネスリーダー育成のための研修・講演も多く手がける。(主には、企業内大学における自社課題解決や、論理思考・経営戦略・マーケティング・ビジネスプラン・ビジネスプレゼンテーション等)。グロービスのパートナー・ファカルティでもある。


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