著者プロフィール:郷 好文
マーケティング・リサーチ、新規事業の企画・開発・運営、海外駐在を経て、1999年よりビジネスブレイン太田昭和のマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略、業務プロセス改革など多数のプロジェクトに参画。著書に「ナレッジ・ダイナミクス」(工業調査会)、「21世紀の医療経営」(薬事日報社)、「顧客視点の成長シナリオ」(ファーストプレス)など。現在、マーケティング・コンサルタントとしてコンサルティング本部に所属。中小企業診断士。ブログ→「マーケティング・ブレイン」
算数音痴でも数字から答えが解けるときがある。理科系ビジネスマンならなおさら、「数字こそ答えを解くためのものさ」と口をそろえる。ところが感覚的文科系の私は、年を取れば取るほど数字(データといってもいい)の世界から遠ざかり、売れるも売れないも消費心理も、せいぜい足し算と引き算に還元する。割りきれない小数点以下の心理は、きれいすっぱり切り捨てている。
そんな単純還元マーケティング脳の私だが、先日ふと「男と女は数学が根本的に違う!」とひらめいた。消費心理をワシづかみにできた!と思った。
男と女で数学が違うとは……? ワシづかみのきっかけは、5月11日に東京ビッグサイトで行われた「GEISAIミュージアム#2」で“AKB48(エーケービーフォーティーエイト)”を観なかったことだ。
AKB48とは「秋葉原48劇場」で毎日ステージを行う、女子48人のアイドルユニットだ(デビュー当時はもっと少なかったらしい、参照記事)。
GEISAIミュージアム#2はプロアーチスト登竜門の展示イベントなのだが、その併催イベントのメインを務めたのがAKB48。そんなわけで、その日のビッグサイトには、芸術はともかく女子目当ての男子来場者が多かった。私はそもそも“AKB48”をどう読むのかさえ知らなかったくらいだから、彼女たちのことは眼中になかった。だから観ずに帰った。
もう1つ理由がある。その日の私のターゲットが1人の女性(若きイラストレーター)だったのだ。1人の女性に心を集中させ「知りたい」と思ったから、48人の女の子は私には多過ぎた。
AKB48は「Aチーム」「Kチーム」「Bチーム」の3グループからなり、トータルで48人(だそうだ)。入脱退がありメンバーには変動がある。男子ファンは48人全員がお目当てではなく、ユニットの中の特定の女の子のファンなのだろう。48人もいても、1人を好きになるファン心理という点では私と同じかもしれない。
だが待てよ。マーケティング目線で考えた。集団で売る意味はある。AKB48は“ユニットの中でお目当て探し”をさせるのが狙いだ。最初から1人ではなくて、プリンアラモードのように「プリンがメインだけど、ホイップもイチゴもバナナもいいな、どれから食べようか」という“目移りさせるユニット効果”がウリである。
バナナから食べる。食べだしてバナナとホイップを合体させる。ホイップとプリンもいいな、プリンとイチゴはどうかな……と味の相乗効果にハマってゆく。ユニットの中の1人へ、1人からユニットへ――アイドルユニットとは、プリンアラモード好きの男性心理を狙い撃ちする仕掛けだ。
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