環境より“思い出”――ケータイをリサイクルしない理由

» 2008年07月29日 14時04分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 金やプラチナなどの希少な金属が含まれる携帯電話。買い替えで不要となった携帯電話をリサイクルする意味は大きいが、電気通信事業者協会などの調査によると、2007年の回収台数は644万3000台で、2000年の1361万5000台をピークに減少傾向が続いているという。携帯電話の国内出荷台数は年間5000万台前後で推移しているため(電子情報技術産業協会)、リサイクル率も30%弱から10%強にまで下がっている。

 ネットエイジアの調査によると、「直近で携帯電話・PHSを買い替えた時に古い端末はどうしたか」と尋ねたところ、「自宅に置いている」との回答が最も多く62.3%を占めた。「自宅などで電話以外の用途に使っている」と答えた21.8%を加えると8割以上の人は古い端末を手放しておらず、「ショップなどでリサイクル」という人は11.1%に過ぎないことが分かった。

直近で携帯電話・PHSを買い替えた時に古い端末はどうしたか(出典:ネットエイジア)

「端末の写真を思い出に取っておきたい」

 携帯電話に希少金属が含まれており、リサイクル価値があることを知っている人は76.3%いたが、実際に「リサイクル経験がある」のは41.8%だった。「リサイクル経験がない」人にその理由を聞くと、「端末に残している写真などを思い出として取っておきたいから」が54.5%で1位。以下、「個人情報の流出が怖いから」(41.5%)、「通話以外の機能で使いたいから」(27.7%)が続く。

リサイクルしない理由(出典:ネットエイジア)

 家庭に眠っている携帯電話はどれぐらいあるのだろうか。「通話ができない携帯電話・PHSを自宅に何台置いているか」と質問すると、「2台」が29.2%で最も多く、「3台」が22.3%、「4台以上」が21.4%、「1台」が19.5%で続き、「1台も置いていない」はわずか7.6%だった。

 通話ができない携帯電話・PHSの用途を尋ねると、「アラーム(目覚まし)機能」が36.3%で一番多かった。以下、「カメラ機能」(25.6%)、「アルバム機能」(22.6%)が続いた。デジカメ機能や動画機能など、端末の高機能化が進み、通話・通信以外の利用用途が増えていることもリサイクルが進まない一因となっているようだ。

 調査対象は20歳から49歳の携帯電話利用者435人(男性216人、女性219人)。調査期間は7月24日から28日。

古い端末の用途(出典:ネットエイジア)

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