今回はこのゲロルズエッカー環境住宅地を例として、環境住宅や環境住宅地の要素を8つ紹介しよう。もちろん、環境住宅地ごとにコンセプトや立地条件が異なるため、必ずしもすべての環境住宅地に当てはまるわけではないが、普遍的なポイントは数多く見つかるはずだ。
住宅の壁を密着させるドイツ長屋式住宅と集合住宅を採用し土地を有効利用している。これにより、失われる緑をなるべく少なくし建設資材と建設費を節約できる。
太陽エネルギーの有効利用は環境住宅の基本。南向きの窓を大きく取り、冬の陽射しを効率よく取り入れる。ただし、そのままだと夏は暑過ぎるので、適した角度と長さのひさしを設置したり、夏の間だけ日差しをさえぎる広葉樹を植える。もちろん太陽電池や太陽熱温水器(住宅地全体で160平方メートル)も設置している。
低エネルギー住宅であることは当然。分厚い断熱材(壁の厚さが60センチメートル)、断熱効率の高い窓(2重)、省エネ型ボイラー、熱交換型※の換気装置を利用している。
雨水を地下の共用タンク(80立方メートル)にため、トイレの洗浄と庭の水まきに利用している。また、洗浄水の必要がないコンポストトイレ※を採用している。
なるべく地元で産出する素材を用い、解体後のリサイクルも視野に入れながら素材を選んでいる。およそ80%がリサイクル可能な素材だ。そして、地下室を作る時に出る土は、外部に捨てないで庭に盛っている(80センチメートルほど地面が高くなる)。
都市から遠い所だと通勤・通学・買い物のための足が必要となり、自家用車の利用が不可欠となってしまう。公共交通を利用しやすいよう、なるべく都市の近郊を選んだ。また、無駄な車の所有・利用を抑えるため、13世帯が共同で1台の車を利用している(カーシェアリング)。
共同のコンポストを設置して共有地から出る草や剪定枝(せんていし)を処理。そして、子どもたちのためにビオトープの遊び場を作り、壁面緑化や屋上緑化を積極的に進めている。
壁を中空のレンガで作り、その中に暖かい空気を循環させる壁暖房を利用している。壁が室内を穏やかに暖めるので心地いいが、建設コストが高いため一般には普及していない。
また、設計段階から住民と建築家が相談し、自由な間取りを実現した。居間を広くする、小部屋を多くする、車椅子でも利用しやすいように室内の段差をなくすなど、世帯ごとの要望にきめ細かく対応。
決して「エコロジカル=不便な生活」ではない。もちろん、過剰な設備やぜいたくは省かれているが、「環境のことを考えながらこんな風に暮らしたい!」という思いを実現できるライフスタイルだ。
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