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» 2008年11月04日 02時00分 公開

紅葉の秋が来た――ドイツ人の落ち葉処理の知恵松田雅央の時事日想・特別編(2/2 ページ)

[松田雅央,Business Media 誠]
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家庭のコンポスト

 庭のある住宅には必ずコンポストが置かれ、落ち葉を含めた庭の植物ゴミや台所から出る植物性の生ゴミはできる限りここで処理する。ちなみにコンポストとは生ゴミを微生物の力で分解して堆肥化(コンポスト化)する容器と、そこで作られた堆肥(コンポスト)の両方を指す。

 昔はコンポストと言えば木組みが普通だったが、最近では管理しやすいプラスチック製が主流だ。木組みは造りが簡単で自作することもできるが、乾燥や気候の変化に弱く、温度を一定に保ちにくいので、コンポスト化に長時間かかる。この点、プラスチック製のコンポストは内部の環境を一定に保ちやすく扱いが楽で、コンポスト化の時間も木組みの半分、3カ月程度で済む。

 コンポストは家庭から出る生ゴミをすべて処理できると考える人もいるが、これは誤りだ。まず、肉・魚・骨・火を通した料理は腐敗したりネズミが寄ってくるので不可。また、刈り取った草や落ち葉など同種の植物ゴミを大量に入れると生物分解がうまく進まないので、なるべく多種類を入れ、適時土の層を作ってサンドイッチ状にするといい。内部の状態をチェックしながら必要ならばミネラル分を加え、スタート時には市販のパック入り微生物も利用する。

 以前、日本から「ドイツではコンポスト用のミミズが売られていると聞きましたが本当ですか?」と質問をいただいたことがある。園芸用品の通販で見たような気はするが一般的ではないようだ。もし、ミミズが必要ならば近所の庭からミミズ入りコンポストをおすそ分けしてもらうのが手っ取り早い。庭のない住宅向けにベランダ用コンポストが研究されたこともあるが、こちらは管理が難しく悪臭が発生するなどの理由で一般化していない。

右は伝統的な木組みのコンポスト、左はプラスチック製の速成コンポスト(左)、プラスチック製コンポストの中。コンポストの底は開いており、ミミズなどの有用な生物が下からはい上がってくる(右)

公共のコンポスト処理場

 多量の落ち葉や選定した枝など家庭のコンポストで処理しきれない植物ゴミは、公共のコンポスト処理場を利用する。こういった植物ゴミは公共サービスの一環として無料で収集され、各所に常設の収集ステーションが設置されるほか、秋には落ち葉、年明けにはクリスマスツリーなどの特別収集を行う自治体もある。

市街地で収集した植物ゴミをコンポスト処理場に搬入するトラック(左)、秋の植物ゴミは落ち葉が多い(右)

 こういった公共のコンポスト処理場は造園業者も利用し(有料)、太い枝や伐採した樹木も持ち込まれる。以前は枝や樹木も大型機械を使って細かく粉砕してコンポスト化されていたが、最近はあえて荒く粉砕し、大き目の木片を木材バイオマス(燃料)に利用するのが盛んだ。

粉砕した枝・樹木を大型機械で選別(左)、選別された大きめの木片は木材バイオマスとして燃料に利用(右)

 収集された植物ゴミは高さ2メートルほどに積み上げられ、やはり自然発酵によりコンポスト化される。家庭用コンポストと違い発酵温度が70度以上になるため、不必要な微生物の滅菌や雑草の種の不活性化が同時に行われて都合いい。内部の状態を均一にするため、大型機械を使って植物ゴミの山を一度混ぜっ返し、計半年ほどでコンポストが出来上がる。

発酵を終えたコンポストの山

安心が一番

 自治体としてはコンポストをすべて有価販売したいところだが実際はなかなか難しく、市場価格が低ければ農家に無料で引き取ってもらうことになる。希望する市民はコンポスト処理場へ行き、バケツに入れたり、小型トラックで持ち帰ってもいい。また、一部のコンポストは業者が土と混ぜて自治体のロゴを刷った袋に詰め“自治体オリジナルの土”として園芸用に販売している。

 コンポストは偉大なエコの知恵。食の安全も自ら守らなければならない時代だけに、自家製コンポストや地元自治体のコンポストは安心して使えるのが嬉しい。

市民向けのコンポスト利用手引きの看板。「畑に2センチメートルの厚さでまく」「園芸用には土と半々に混ぜて使用」(左)、コンポストと土を混ぜて園芸用に販売(右)

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