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» 2008年12月03日 13時13分 公開

リニアモーターカーで“空中散歩”――実際に「リニモ」に乗ってきた(後編)写真で見るリニモ(2/3 ページ)

[神尾寿,Business Media 誠]

街と山を縫うように、リニモが走る

 発車のチャイムが鳴り、駅を出るときガチッと鋭い音がする。これは停車時、車両とレールを物理的に固定していたロックが解除される音だ。リニモは運行時、常に浮上しているが、この状態では人が押す程度の力でも車両が動いてしまう。停車位置がズレないように、駅では機械式のブレーキを使っているのだ。

 リニモがスルスルと走り出す。意識して乗っていると、その加速感が一般的な電車とはまったく違うものであることが分かる。出だしからグッとトルクが立ち上がり、しかも摩擦による抵抗感がなくスピードが上がっていくのだ。まるで“魔法の絨毯”のような不思議な加速である。あえて近い乗り味をあげるとすれば、筆者が何度か乗ったことがある電気自動車燃料電池車(FCV)に近いと言えば近い。だが、やはり“浮上し、摩擦がない”ことによる加速の滑らかさは段違いだ。

 駅を出ると、そのコースが予想以上に起伏に富んでいることに気づく。藤が丘駅から出てしばらくは住宅地の街並みが続き、その後は紅葉も美しい里山に入っていくが、レールは急勾配と急カーブの連続である。ところによってはS字カーブや、かなり長い上り坂などもある。

 それでもリニモは、特に大きな駆動音をあげることなく、スムーズに加速と減速、そしてカーブをこなしていく。振動がなく、車内は普通の声でおしゃべりができるほど静かなので気づきにくいが、リニモの走る軌道はまさに街と山を縫うようなコースだ。「上海トランスラピッド」のように猛スピードが出ているわけではないが、実はこれも“リニアモーターカーでしか体験できない走り”なのだ。

リニモの軌道はクネクネと曲がりくねり、街や山を縫うように敷設されている。これらは小回りが利き、加速性能が高いリニモだからこその設計だ

レールがかなり急傾斜なのが分かるだろうか。丘陵地帯に「地形に沿うように」作られた軌道は、各所に傾斜がある。それでもリニモは速度が落ちることなく、スムーズに走る

車両と駅は運輸司令所から集中管理

 リニモはATOによる無人運転だが、無人なのは車両だけではない。多くの駅も無人で、駅職員が常駐しているのは「藤が丘駅」「愛・地球博公園駅」「八草」の3駅のみ。すべての駅に事故防止のホームドアが設置されており、また多数の監視カメラとインターホンで駅と運輸司令所がリアルタイムで結ばれているため、無人化を進めても問題がないという。

 筆者は今回、リニモの外観撮影のために複数の駅で降車したが、陶磁資料館南駅あたりまで来ると、平日昼間の利用者はかなり少なく、筆者以外は誰もいない完全な「無人駅」になっていた。とはいえ、田舎の無人駅のような寂寥さはない。約10分間隔でリニモが来るし、電光掲示板やホームドアがきちんと動作している。

リニモの駅。有人なのは3駅のみで、あとは基本的に無人だ。高架駅が大半なので、見晴らしはとてもよい

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