リニアモーターカーで“空中散歩”――実際に「リニモ」に乗ってきた(後編)写真で見るリニモ(1/3 ページ)

» 2008年12月03日 13時13分 公開
[神尾寿,Business Media 誠]

 世界でたった2つ、日本では唯一となる磁気浮上式リニアモーターカー「リニモ」(正式名:愛知高速交通東部丘陵線)。静かでクリーン、それでいて加減速や登坂性能が高いという先進の公共交通システムだ。

 前編ではリニモの仕組みや、そのシステム上のメリットなどを紹介したが、後編では実際にリニモに乗り、その“空を飛ぶような”乗車感覚を、写真をもとにレポートしていく。

 →“世界でここだけ”「リニモ」の魅力とは?(前編)

リニモの運輸司令所

9キロ/9駅/17分の空中散歩

リニモは全部で9駅(リニモWebサイトより)

 リニモは地下鉄東山線と連絡する「藤が丘駅」から、愛知環状鉄道と連絡する「八草駅」までを結ぶ、総延長約9キロメートルの磁気浮上式鉄道(リニアモーターカー)だ。駅数は9駅、所要時間は約17分。“東部丘陵線”という名称のとおり、リニモが走るのは自然の多い丘陵地帯で、勾配や急カーブが多い。リニモはこの区間を、静かに、かつ滑らかに走り抜ける。

 では、さっそくリニモの車内に足を踏み入れてみよう。

 リニモに乗って、まず感嘆するのが、窓の多さと景色の良さである。浮上し、リニアモーターで推進するリニモは、その構造上、走行中に車体とレールが接触しない。走行時の摩擦音が一切なく、静粛性がすこぶる高い。車体を遮音する必要がないので窓を多く取ることが可能であり、さらに軌道の周囲に防音壁をめぐらせる必要もないため、とても「見晴らしがよい」のだ。

 空中散歩の気分を味わいたいならば、特にお奨めなのは前方席。リニモはATO(自動列車運転装置、Automatic Train Operation)による自動運転をしており、運転席部分が開放された状態で、無人運転になっている。そのため最前方の席ならば、車両正面の大きなガラス窓から、進行方向の景色がそのまま楽しめる。

 なお、ごくまれに「運転士の技能維持訓練のために、(有人で)手動運転することもある」(愛知高速交通企画営業グループ長の江尻和聰氏)という。この時は普段はお目にかかれない、手動運転用の装置が見られるとのことだ。

リニモの運転席部分は総ガラス張り。最前方席からの見晴らしの良さは格別だ
静粛性の高いリニモは、遮音の必要性が低い。そのためガラスをふんだんに使い、車内は明るく開放的である
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