日本“最西端”と“最南端”を同時に体験――沖縄県民の足、ゆいレールに乗ってみた近距離交通特集(3/3 ページ)

» 2008年12月08日 12時30分 公開
[神尾寿,Business Media 誠]
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休日の利用増が課題。将来に向けて延伸も検討中

 ゆいレールは渋滞緩和の切り札、新たな県民の足として、着実に沖縄の地に根付き始めている。しかし、利用実績は目標未達の状況であり、利用増に向けた取り組みを強化している状況だ。

 「乗客数は開業の2003年から毎年度伸びていますが、2007年度は目標である1日平均3万8000人の利用者数に少し届きませんでした。現在は特に乗客が減少する土曜日・日曜日や祝祭日の増客対策に注力しているところです」(沖縄都市モノレール広報)

 逆説的に言えば、当初の主要な導入目的であった平日の渋滞緩和については着実な成果を上げているということだ。それは平日の利用実績が好調なところに現れており、また同社が用意しているパーク&ライド用の駐車場も「とても人気が高く、駐車場の空き待ちの状況が続いている」(沖縄都市モノレール広報)のだ。一方で、観光需要や休日のレジャー需要は、いまだクルマ利用のシェアが高く、この部分の需要をどれだけゆいレールが獲得できるかが重要になってきているという。

 また、現在は那覇市を軸とした沖縄本島中南部地域のみとなっている路線を延伸する計画も検討されている。この延伸計画は沖縄都市モノレール延長検討委員会によって検討されており、沖縄自動車道に連絡するルートが2案から選定されているという。このうち有力なのは、首里石嶺地区を通り北上し、国際センター駅、浦添グスク駅と浦西駅を新設し、西原入口交差点付近に交通広場を設けるという「浦添ルート(参照リンク)」だ。

 「現在は、(浦添ルート実現に向けて)沖縄県を中心に那覇市と浦添市が事業化に向けて検討している状況です」(沖縄都市モノレール広報)

 浦添ルートでは、沖縄自動車道と連絡する浦西駅側の交通広場に、大規模パーク&ライド施設の設置が検討されている。沖縄はもともとクルマ中心社会だけに、自動車交通と鉄道交通が並列で発展してきた地域よりも、パーク&ライドのような欧米型の“公共交通への乗り換え”システムを模索しやすいという一面もある。日本最南端のモノレールが、今後どのように自動車交通と連携していくか。ゆいレールの今後は、1つの注目といえるだろう。

ゆいレールの終点、首里駅

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