転職が厳しい業種は? 2009年度の中途採用見通し

» 2008年12月18日 13時42分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 景気の悪化が深刻化している中、中途採用の見通しはどうなっているのだろうか。2009年度の中途採用について、「減る」(12.4%)が「増える」(4.0%)を上回っていることが、リクルートワークス研究所の調査で分かった。2008年度の中途採用の見通しと比べると、「増える」と回答した割合は7.3ポイント減少、逆に「減る」と答えた企業は4.4ポイント増えるなど、転職を希望しているビジネスパーソンにとっては厳しい環境になりそうだ。

 従業員別に見ると、従業員1000人未満企業、1000人以上企業ともに、「減る」が「増える」を上回った。「増える」と「減る」の差を見てみると、従業員5人〜99人(−2.6ポイント)と従業員5000人以上(−1.6ポイント)の企業は、ほかの従業員規模と比べその差は少なかった。しかし「減る」が「増える」を大きく上回っているのは、従業員300人〜999人(−10.6ポイント)、従業員1000人〜1999人(−10.7ポイント)、従業員2000人〜4999人(−10.4ポイント)など、規模の大きい企業が目立った。

2009年度の中途採用見通し(従業員別、リクルートワークス研究所)

 郵送・電話・FAXによる調査で、従業員5人以上の民間企業3118社が回答した。調査期間は10月16日から11月12日まで。

中途採用の落ち込みが目立つ製造業

 2009年度の中途採用の見通しで、業種別に違いはあるのだろうか。業種別を4つの大分類(製造業、流通業、金融業、サービス・情報業)で見ると、すべての業種で「減る」が「増える」を上回ったが、中でも製造業(−11.3ポイント)の落ち込みが目立った。

 小分類で見てみると、「減る」が「増える」を大きく上回ったのは「半導体・電気部品」で−25.4ポイント。次いで「自動車・鉄道」(−24.2ポイント)、「機械・プラント」(−16.1ポイント)など、製造業が多かった。また回答企業数(18社)は少ないが、「生命保険・損害保険」(−27.8ポイント)※は中途採用をかなり控えそうだ。

※回答企業数が少ないため、参考データとして参照。

 ちなみに2008年度の見通しを見ると、4つの業種すべてで「増える」が「減る」を上回った。最も多かったのは「金融業」で8.8ポイント、次いで「サービス・情報業」(7.9ポイント)、「流通業」(3.1ポイント)、「製造業」(0.4ポイント)だった。

業種別に見た、2009年度の中途採用見通し(クリックして拡大、出典:リクルートワークス研究所)

 今後の景気が、現在想定している状況よりもさらに下振れした場合、中途採用にどのように影響するのだろうか。予想以上に景気が悪化した場合、中途採用に「影響する(大きく影響する+ある程度影響する)」と回答した企業は62.1%。業種別に見ると、「自動車・鉄道」(80.9%)や「機械・プラント」(73.3%)といった製造業が目立った。逆に「影響しない」と回答した割合が5割を超えたのは、「食品」(54.1%)と「銀行」(52.4%)などだった。

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